VISAとMastercard、海外旅行にはどっちを持つべき?国別の使えるエリア比較
どちらか1枚だけ持っていくならVISA。2枚持てるならVISA + Mastercard。これが32か国を旅した筆者の結論です。
理由はシンプルで、VISAの世界シェアが約40%と最も高く、加盟店の数で最大のネットワークを持っているためです。ただし、MastercardもシェアはVISAに次ぐ約30%を占めており、実用上の差はかなり小さいのが実情です。「VISAが使えてMastercardが使えない店」やその逆に遭遇する頻度は、32か国回って片手で数えられる程度でした。
それでもなぜVISAを1枚目に推すのか、Mastercardが有利な場面はないのか、JCBやAMEXはどうなのか。この記事で整理していきます。
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VISAとMastercardの基本データ
まず数字を並べて比較します。
| 項目 | VISA | Mastercard |
|---|---|---|
| 世界シェア(取引件数ベース) | 約40% | 約30% |
| 加盟店数 | 約1億か所 | 約9,000万か所 |
| 対応ATM数 | 約260万台(VISA/PLUSネットワーク) | 約260万台(Mastercard/Cirrusネットワーク) |
| タッチ決済 | VISAタッチ(payWave) | Mastercardコンタクトレス(PayPass) |
| 為替レート | VISA独自レート | Mastercard独自レート |
加盟店数とATM数はほぼ同等です。どちらもグローバルブランドとして200以上の国と地域で使えるため、「片方だと海外で困る」ということはまずありません。
差が出るのは、特定の地域や業種でどちらか片方しか対応していないケースです。次のセクションで地域別に見ていきます。
地域別の使い勝手
筆者の渡航経験と各ブランドの公開データをもとに、地域別の使い勝手をまとめました。
| 地域 | VISA | Mastercard | 備考 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパ | ◎ | ◎〜◯ | Mastercardが交通系タッチ決済で先行する都市あり。ロンドンのTfLはどちらも対応 |
| 東南アジア | ◯ | ◯ | ほぼ同等。現金文化が残る地域では現金必須 |
| 東アジア(中国除く) | ◎ | ◎ | 韓国・台湾はどちらも高い対応率。JCBも使える店が多い |
| 北米 | ◎ | ◯ | CostcoがVISA専用(2016年〜)。全体的にはVISAがわずかに有利 |
| オセアニア | ◎ | ◎ | オーストラリア、ニュージーランドともに高い対応率 |
| 中東・アフリカ | ◯ | ◯ | 都市部のホテルや大型店は対応。ローカルな店は現金中心 |
◎ = 困ることがほぼない、◯ = 大型店は問題ないがローカルで使えない場合あり
ヨーロッパ ― Mastercardがやや有利な場面がある
ヨーロッパは全体的にカード決済の普及率が高く、VISAもMastercardもほぼ問題なく使えます。スウェーデンやデンマークのように現金をほとんど受け付けない国もあるほどです。
ただし、交通系のタッチ決済ではMastercardが先行して導入されたケースがあります。筆者がプラハの地下鉄でタッチ決済を試したとき、改札のリーダーにMastercardのロゴしか表示されていなかった記憶があります(現在はVISAも対応済み)。こうした「Mastercardが先に対応して、VISAが後追い」というパターンは、ヨーロッパの公共交通系で時折見かけます。
日常の買い物では差を感じません。スーパー、レストラン、カフェ、どこでもどちらのブランドも使えます。
東南アジア ― ほぼ同等だが現金も必要
タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど、東南アジアの主要都市ではVISAもMastercardも使えます。ショッピングモールやチェーン店、ホテルでは問題ありません。
ただし、屋台、ローカル食堂、タクシー(GrabやBoltではなく流しのタクシー)などでは現金払いが一般的です。カードブランドの差よりも「そもそもカードが使えるかどうか」のほうが問題になる地域です。
北米 ― VISAがわずかに有利
アメリカとカナダはカード社会なので、VISAもMastercardも困ることはありません。ただし、一つ知っておくべき事実があります。アメリカのCostco(コストコ)は2016年にAMEXからVISAに切り替えた後、店舗でのクレジットカード決済はVISA限定になりました。
Costcoで買い物する予定がある方は、VISAカードが必要です。これはMastercardでは代用できません(デビットカードは別ブランドでも使える場合があります)。
日常的な買い物やレストランでは、両ブランドの差は感じません。
東アジア ― どちらも高い対応率
韓国、台湾、香港ではVISAもMastercardも普及率が高く、カード決済で困ることはまれです。韓国はキャッシュレス比率が世界的にもトップクラスで、コンビニから屋台まで幅広くカード対応しています。
この地域の特徴は、JCBの対応率も比較的高いことです。日本人観光客が多い韓国の明洞や台湾の西門町では、JCBのロゴを掲げる店をよく見かけます。ただし、ローカルエリアに入るとJCBの対応率は下がるため、メインカードとしてはやはりVISAかMastercardが安心です。
為替レートの違い ― 実際にはほぼ誤差
「VISAとMastercardで為替レートが違う」という話を聞いたことがある方も多いと思います。これは事実です。VISAはVISA USA Exchange Rate、MastercardはMastercard Currency Conversion Calculatorという独自の為替レートを公開しており、それぞれのレートでドルやユーロから円への換算が行われます。
ただし、この差は0.1〜0.3%程度です。10万円分の決済で100〜300円の差。正直、気にするほどではありません。
筆者は過去に同日の同通貨で両ブランドのレートを比較したことがありますが、ある日はVISAが有利、別の日はMastercardが有利、という具合で一貫した傾向はありませんでした。「Mastercardのほうがレートが良い」という情報を見かけることもありますが、これは特定の時期の結果を一般化しているだけで、常にそうとは言えません。
為替レートの差よりも、カード会社ごとの海外事務手数料のほうがよほど影響が大きいです。手数料率はカードによって1.6〜2.2%と幅があるため、ブランドの為替差よりもカード選びのほうが重要です。年会費無料で手数料が低いカードを探している方は、海外旅行用クレジットカード5枚比較を参考にしてください。
4大ブランド比較 ― 海外利用の観点で
VISAとMastercardだけでなく、JCBとAMEXも含めた4大ブランドを海外利用の観点で比較します。
| 項目 | VISA | Mastercard | JCB | AMEX |
|---|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約40% | 約30% | 約3% | 約7% |
| 海外加盟店の多さ | 非常に多い | 非常に多い | 限定的 | 中程度 |
| 使えるATM | VISA/PLUS | Mastercard/Cirrus | JCB/Cirrus | AMEX |
| タッチ決済 | VISAタッチ | Mastercardコンタクトレス | JCBコンタクトレス | AMEXコンタクトレス |
| 日本国内の特典 | 標準的 | 標準的 | Oki Dokiポイント等 | 空港ラウンジ等が充実 |
| 海外旅行での安心感 | 高い | 高い | 地域による | 大型店なら可 |
JCBについて
JCBは日本発の国際ブランドで、国内での利便性は高いです。しかし海外では加盟店が大幅に少なく、筆者はヨーロッパを周遊したとき何度もJCBを断られた経験があります。
ドイツのレストラン、フランスのカフェ、イタリアのジェラート屋、いずれもVISAやMastercardは使えるのにJCBのロゴがない。店員に「JCB?」と見せると首を振られる、という場面を何度も経験しました。
一方で、ハワイのワイキキ、韓国の明洞、グアム、台湾の免税店などではJCBラウンジが設置されており、JCBカード保有者向けの特典が充実しています。海外旅行のメインカードにはならないけれど、日本人向け特典を享受するための3枚目としてなら十分価値があります。
AMEXについて
AMEXは高級ホテル、空港、百貨店、大型ショッピングモールではほぼ使えます。ヒルトンやマリオット系列のホテル、空港の免税店などで困ることはありません。
問題は街中の小さな店です。筆者がバルセロナのバル(立ち飲み居酒屋のような店)でAMEXを出したとき、「VISA or Mastercard only」と言われました。パリの個人経営レストランでも同様の経験があります。AMEXは加盟店手数料がVISAやMastercardより高いため、小規模店舗では導入していないケースが多いのです。
AMEXの空港ラウンジやポイントプログラム、旅行関連の付帯サービスは他ブランドより充実している面があります。ただし、海外で「このカードしか持っていない」という状態は避けるべきです。VISAまたはMastercardを必ずメインに持ち、AMEXはサブカードとして使う運用が安全です。
タッチ決済の対応状況
2026年現在、海外ではタッチ決済(コンタクトレス決済)が急速に普及しています。筆者の体感では、ヨーロッパとオセアニアではカード決済の8割以上がタッチで完結します。
各ブランドのタッチ決済対応は以下のとおりです。
- VISAタッチ(Visa payWave):世界で最も普及率が高い。筆者が訪れた32か国でVISAタッチが使えなかった国はありません
- Mastercardコンタクトレス(Mastercard PayPass):VISAタッチとほぼ同等の普及率。ヨーロッパの交通系では先行して導入された実績あり
- JCBコンタクトレス:対応端末は増えているが、VISAやMastercardほどの普及率はない。日本国内では対応が進んでいる
- AMEXコンタクトレス:大型店舗では対応しているが、小規模店では端末側がAMEXのコンタクトレスに非対応のケースがある
タッチ決済に関しては、VISAとMastercardの差はほとんどありません。どちらも世界中のコンタクトレス対応端末で使えます。
海外でタッチ決済を活用するなら、通信環境も整えておくと安心です。決済アプリの認証やSMSの受信にはネット接続が必要な場面もあります。渡航先のeSIM事情はeSIM比較記事でまとめています。
筆者が実際に遭遇した場面
データだけでは伝わりにくい部分もあるので、実体験をいくつか紹介します。
Mastercard限定だった場面
チェコ・プラハの交通系ICカード「Lita ek」のオンラインチャージで、一時的にMastercardしか受け付けない期間がありました。VISAカードでチャージしようとしたらエラーが出て、Mastercardに切り替えたら通ったのです。
こうした「システム側の対応がMastercard先行」というケースは、ヨーロッパの公共交通系で稀に起こります。頻度は高くありませんが、VISAしか持っていなかったら詰んでいた場面です。
JCBで断られた場面
先述のとおりですが、ヨーロッパではJCBはほぼ使えないと思ったほうがよいです。筆者がJCBカードを試した回数は20回以上ありますが、ヨーロッパで通ったのは空港の免税店とチェーンのファストフード店くらいでした。
特にドイツは厳しかった記憶があります。そもそもカード決済自体が他のヨーロッパ諸国に比べて普及が遅れていた国で、対応していてもVISAとMastercardのみ、というパターンが多かったです。
AMEXが使えなかった場面
バルセロナのバルだけでなく、アジアでも経験があります。タイ・バンコクのチャトチャック市場(ウィークエンドマーケット)の雑貨屋でAMEXを出したら、「VISAかMastercard持ってないの?」と聞かれました。そもそもこの市場では現金が基本ですが、カード対応の店ですらAMEXは受け付けないケースがあるということです。
結論 ― 1枚ならVISA、2枚ならVISA + Mastercard
改めて、筆者の推奨をまとめます。
1枚だけ持っていくなら、VISAです。世界シェアが最も高く、北米のCostcoのようにVISA限定の場面もあります。1枚で最大限の範囲をカバーしたいならVISAが最適です。
2枚持てるなら、VISAとMastercardの両方を持ちましょう。片方が使えないシーンをもう片方でカバーできますし、カードの紛失や磁気不良などのリスク分散にもなります。ヨーロッパの交通系でMastercardが先行対応しているケースも拾えます。
3枚目としてJCBを持つのはアリです。ハワイや韓国でのJCBラウンジ、nanacoチャージなど日本国内向けの特典が充実しているため、海外用というよりは日本での日常使い + 特定の渡航先での特典目的として。
AMEXはポイントやラウンジなど付帯サービスに価値を感じる方には良い選択肢ですが、海外のメインカードにはしないでください。
クレジットカードの枚数や組み合わせについてさらに詳しく知りたい方は、カード何枚持つべきかで具体的なパターンを整理しています。年会費無料のカードに絞った比較は海外旅行用クレジットカード5枚比較をご覧ください。年会費無料のカードに絞って、旅行保険や海外事務手数料の観点で比較しています。VISAブランドのカードで具体的にどれを選ぶか迷っている方は、エポスカード海外レビューも参考になるはずです。
海外旅行はカードだけでなく通信環境も重要
クレジットカードの準備と同じくらい重要なのが、渡航先での通信手段です。タッチ決済の認証、ホテルの予約確認、地図アプリ、翻訳アプリ、どれもネット環境が前提になっています。
最近はeSIMの普及で、空港に着く前からスマートフォンに現地回線を設定できるようになりました。カードの準備が済んだら、渡航先のeSIM事情もチェックしておくとよいでしょう。主要なeSIMサービスの料金や対応国をeSIM比較記事で横断比較しています。
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よくある質問
VISAとMastercardで使える店の数に差はある?
為替レートはVISAとMastercardで違う?
JCBは海外で使えない?
AMEXは海外で使える?
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