海外旅行保険を比較して選ぶ|補償内容と保険料のバランスで決める5社
短期のアジア旅行であれば、クレジットカードの付帯保険だけでもカバーできるケースが大半です。一方、アメリカやヨーロッパへの渡航、あるいは2週間を超える旅行では、カード付帯保険に個別の海外旅行保険を上乗せするのが合理的な判断だと筆者は考えています。
この記事では、海外旅行保険の主要5社を補償内容・保険料・使い勝手の3軸で比較し、渡航先や旅行スタイルに応じた選び方を整理します。
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そもそも海外旅行保険は本当に必要なのか
「保険なんてお守り代わりだろう」と考える人は少なくありません。筆者も20代の頃は同じ考えでした。ただ、32か国を旅する中で、保険がなければ大変なことになっていたであろう場面に何度か遭遇しています。
まず押さえておきたいのは、海外の医療費が日本とはまったく異なる水準だという事実です。
アメリカでは、盲腸(虫垂炎)の手術が300万円を超えるケースは珍しくありません。ニューヨークで救急搬送された場合、搬送費だけで30万円という事例も報告されています。骨折で入院・手術となれば、500万円以上の請求が来ることもあります。
ヨーロッパも決して安くはありません。フランスやドイツの病院で入院すると、1日あたり10〜20万円の費用がかかることがあります。骨折の治療で100万円、盲腸手術で150〜200万円が目安です。
東南アジアは相対的に安価ですが、それでも私立病院に入院すれば1週間で50〜100万円に達することがあります。バンコクのバムルンラード病院のような国際的な私立病院を利用すれば、日本と大差ない請求額になることもあります。
「旅先で急に体調を崩すなんてそうそうないだろう」と思うかもしれません。しかし、旅行中は慣れない食事、時差ボケ、睡眠不足、気候の変化と、体調を崩す要因が重なります。筆者自身、スペインで急性胃腸炎になりクリニックに駆け込んだ経験があります。幸い軽症で済みましたが、あの腹痛が盲腸だったらと考えると、保険なしで渡航する気にはなれません。
補償項目を理解する:何に対していくら出るのか
海外旅行保険の補償は複数の項目に分かれています。パンフレットやWebサイトに並ぶ項目名だけでは違いがわかりにくいので、それぞれの意味と重要度を整理しておきます。
傷害治療費用は、旅行中のケガによる治療費を補償する項目です。転倒して骨折した、階段から落ちて打撲した、といったケースが該当します。
疾病治療費用は、旅行中の病気による治療費を補償します。食中毒、急性胃腸炎、インフルエンザ、虫歯の急な悪化などが対象です。海外旅行での保険金請求で最も多いのはこの項目と言われており、実質的に最も重要な補償です。
賠償責任は、旅行中に他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりした場合に適用されます。ホテルの備品を破損した、レンタカーで人にぶつかった、といった場合です。数千万円の賠償が発生する可能性があるため、上限額は高いほうが安心です。
携行品損害は、手荷物の盗難や破損を補償します。カメラが壊れた、スマートフォンを盗まれた、スーツケースが航空会社に破損された、といったケースです。ただし、1個あたりの補償上限が10万円に制限されている保険が多く、高額なノートPCやカメラが盗まれた場合に全額はカバーされないことが一般的です。
救援者費用は、旅行者が入院した際に家族が現地へ駆けつける交通費・宿泊費を補償します。長期入院や重傷の場合に必要となる補償で、日本からアメリカやヨーロッパへの緊急渡航は片道だけでも数十万円かかります。
航空機遅延費用は、飛行機の遅延や欠航によって追加で発生した宿泊費・食事代・交通費を補償します。補償額は2〜5万円程度と小さいですが、実際に遅延に遭遇する頻度は意外と高く、地味にありがたい補償です。
これらの中で筆者が最も重視しているのは、疾病治療費用と傷害治療費用です。旅行保険の比較は、まずこの2項目の補償額を見比べるところから始めるのが効率的です。
主要5社の比較:保険料と補償額のバランス
ここからは、ネットで加入できる海外旅行保険の主要5社を比較します。比較条件はアジア(タイ)7日間、個人の旅行としています。
| 保険会社 | プラン名 | 保険料目安 | 傷害治療 | 疾病治療 | 賠償責任 | 携行品損害 | 救援者費用 | 航空機遅延 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 損保ジャパン | 新・海外旅行保険off! | 約1,500円 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 1,000万 | あり |
| 東京海上日動 | 海外旅行保険 | 約2,800円 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 1,000万 | あり |
| AIG損保 | 海外旅行保険 | 約2,500円 | 無制限 | 無制限 | 1億 | 30万 | 無制限 | あり |
| エイチ・エス損保 | たびとも | 約1,200円 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 1,000万 | あり |
| ジェイアイ傷害火災 | tabiho | 約1,400円 | 1,000万 | 1,000万 | 1億 | 30万 | 1,000万 | あり |
注意:保険料は2026年3月時点の参考値で、補償内容やプランによって変動します。申込時に各社の公式サイトで正確な金額を確認してください。
ここからは各社の特徴を個別に見ていきます。
損保ジャパン「新・海外旅行保険off!」
損保ジャパンの「新・海外旅行保険off!」は、ネット専用の海外旅行保険として知名度が高い商品です。最大の特徴は「バラ掛け」に対応していること。必要な補償だけを選んで組み合わせることができるため、不要な補償を外して保険料を抑えることが可能です。
たとえば「携行品損害は不要だが、疾病治療は手厚くしたい」という筆者のような旅行者にとっては、ありがたい仕組みです。荷物を最小限にしてバックパックで旅する場合、携行品の補償に保険料を払う必要性は低いからです。
保険料はフルセットで加入しても比較的リーズナブルです。アジア7日間で約1,500円というのは、この補償内容なら十分に納得できる水準でしょう。
キャッシュレス診療にも対応しており、提携病院であれば自己負担なしで治療を受けられます。提携病院の数は主要都市を中心にカバーされていますが、地方都市では対象外のケースもあるため、渡航先の対応状況は事前に確認しておく必要があります。
東京海上日動「海外旅行保険」
東京海上日動は日本最大手の損保会社であり、海外旅行保険でも最も利用者が多いブランドの1つです。保険料は他社と比べるとやや高めですが、その分サービスの手厚さに定評があります。
海外での事故対応拠点が充実しており、現地でトラブルが発生した際の電話サポートは24時間日本語対応です。慣れない土地で体調を崩したとき、日本語で症状を伝えられる安心感は大きいです。
キャッシュレス診療の対応病院も多く、主要な渡航先であればまず困ることはありません。保険金の請求手続きも比較的スムーズで、筆者の知人が利用した際は帰国後2週間で振り込まれたと聞いています。
ただし、保険料がネット専用商品と比べて割高である点は否めません。アジア7日間で約2,800円と、損保ジャパンのoff!に比べてほぼ倍の保険料です。「安心をお金で買う」という性格のサービスだと考えるとよいでしょう。
AIG損保「海外旅行保険」
AIG損保の海外旅行保険は、治療費の補償が無制限というプランを提供しているのが最大の特徴です。アメリカのように医療費が青天井の国へ渡航する場合、この「無制限」の安心感は他社にないメリットです。
筆者がAIG損保を推奨するのは、主にアメリカ渡航と長期旅行の2つのケースです。
アメリカの医療費の高さはすでに述べたとおりで、盲腸手術300万円、骨折の入院・手術500万円という世界です。他社の補償上限1,000万円でもほとんどのケースはカバーできますが、ICUに長期入院するような事態になれば1,000万円でも足りない可能性はゼロではありません。そうした「最悪のケース」に備えるならAIG損保の無制限プランが最も安心です。
長期渡航に関しても、AIG損保は31日超〜6か月程度までの長期プランを用意しています。留学や長期出張など、一般的な旅行保険ではカバーしきれない期間の渡航にも対応できます。
保険料はアジア7日間で約2,500円と、東京海上日動と同水準です。無制限の補償を考えれば妥当な価格だと感じますが、短期のアジア旅行であれば他社の1,000万円プランでも十分なため、渡航先によって使い分けるのが賢い判断です。
エイチ・エス損保「たびとも」
エイチ・エス損保の「たびとも」は、とにかく保険料の安さが売りです。アジア7日間で約1,200円と、今回比較した5社の中で最安クラスです。
補償内容も基本的な項目は一通り揃っており、疾病治療・傷害治療ともに1,000万円の補償があります。「必要最低限の補償を最安値で確保したい」という方には最適な選択肢です。
申し込みから保険証券の発行までオンラインで完結するため、手続きの手間もかかりません。出発前日まで加入できるのも便利なポイントです。
一方で、キャッシュレス診療の対応病院数や現地サポート体制では、大手損保会社に見劣りする部分があります。対応病院が限られる渡航先では、いったん自分で医療費を立て替え、帰国後に保険金を請求する流れになる可能性が高くなります。
「サポートの手厚さより保険料の安さを優先したい」と割り切れる方向けの保険です。
ジェイアイ傷害火災「tabiho」
ジェイアイ傷害火災の「tabiho」は、JTBグループの保険会社が運営する商品です。最大の特徴は、補償の組み合わせを自由にカスタマイズできること。損保ジャパンのoff!と同様にバラ掛けに対応していますが、tabihoはさらに細かい金額設定が可能です。
たとえば疾病治療だけ3,000万円に引き上げて、携行品損害は10万円に抑える、といった調整ができます。「自分の旅行スタイルに合わせて最適化したい」という方にはうってつけの保険です。
保険料はアジア7日間で約1,400円と、off!とほぼ同水準。カスタマイズ性の高さを考えると、コストパフォーマンスは良好です。
JTBグループならではの強みとして、旅行会社のネットワークを活かした海外サポートデスクが利用できます。現地で困ったことがあれば、保険の請求だけでなく旅行全般の相談にも対応してもらえるのは心強いです。
クレジットカード付帯保険との合算テクニック
ここまで5社の個別保険を見てきましたが、実はもう1つ有力な選択肢があります。クレジットカードの付帯保険と個別保険を組み合わせる方法です。
エポスカードの海外旅行傷害保険は自動付帯で、疾病治療270万円、傷害治療200万円の補償がつきます。年会費は無料です。エポスカードの保険の詳細はこちらの記事でまとめています。
この付帯保険をベースにして、個別保険で足りない分を上乗せするという考え方です。
具体的には、エポスカード(疾病治療270万円)を持った上で、損保ジャパンoff!の疾病治療1,000万円プランに加入すれば、合計1,270万円の補償を確保できます。カード付帯保険と個別保険の治療費用は合算可能なため、両方から保険金を受け取ることができます。
この合算の仕組みについては、クレジットカード付帯保険の記事で詳しく解説しています。
さらに楽天カード(疾病治療200万円、利用付帯)も組み合わせれば、合計1,470万円。アメリカ渡航でもかなり安心できる水準になります。
この方法の利点は、個別保険で必要な補償額を低く抑えられるため、保険料の節約にもつながることです。カード付帯の270万円分は実質無料で確保できているわけですから、個別保険では残りの不足分だけをカバーすれば済みます。
渡航先別:どれくらいの補償があれば安心か
渡航先によって必要な補償額は大きく変わります。筆者が32か国を旅してきた経験と、各社の保険金支払い事例のデータをもとに、渡航先別の推奨補償額を整理しました。
アメリカ・カナダへの渡航では、治療費用(傷害・疾病とも)1,000万円以上を推奨します。前述のとおり、盲腸手術だけで300万円を超える国です。ICU入院や緊急手術になれば1,000万円でも不足する可能性があるため、できれば無制限プラン、あるいはカード付帯と合算で1,500万円以上を確保したいところです。
ヨーロッパへの渡航では、治療費用500万円程度が目安です。西ヨーロッパの病院は高額ですが、アメリカほどではありません。エポスカードの付帯保険270万円に、個別保険で500万円を上乗せすれば合計770万円となり、ほとんどのケースに対応できます。
東南アジアへの渡航では、治療費用300万円で十分です。タイ、ベトナム、マレーシアなど主要な渡航先では、入院を伴う治療でも100万円以内で収まるケースが大半です。エポスカードの付帯保険だけでもカバーできる範囲ですが、心配な方は格安の個別保険を追加しておけば万全です。
オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)への渡航では、治療費用500〜700万円を推奨します。医療費はヨーロッパと同程度ですが、救急搬送の距離が長くなりがちで、ヘリコプター搬送が必要になるケースもあります。救援者費用の補償額も含めて確認しておくべきです。
ネット契約と窓口契約の保険料差
海外旅行保険は、同じ保険会社でも契約方法によって保険料が大きく異なります。
ネット契約は、保険会社の公式Webサイトから直接申し込む方法です。人件費や店舗コストがかからない分、保険料が30〜50%安くなります。損保ジャパンのoff!やエイチ・エス損保のたびともなど、ネット専用商品は特に割安です。
空港カウンターでの契約は、出発当日でも加入できる手軽さがメリットですが、保険料はネット契約の1.5〜2倍になることがあります。同じ補償内容でも、ネットなら1,500円のところが空港では3,000円以上、ということは普通に起こります。
旅行代理店経由の契約も、対面でのアドバイスが受けられるメリットはあるものの、保険料の面ではネット契約に劣ります。
結論として、保険料を重視するならネット契約一択です。出発の1週間前までに各社の公式サイトで見積もりを取り、補償内容と保険料を比較した上で契約するのが最もコストパフォーマンスの高い方法です。
保険金請求の基本的な流れ
海外旅行保険に入っていても、請求の手順を知らなければ意味がありません。どの保険会社でも基本的な流れは共通しているので、ここで押さえておきます。
まず、現地でトラブルが発生したら、保険会社の緊急連絡先に電話します。各社とも24時間対応の日本語窓口を設けています。電話番号は保険証券に記載されていますが、スマートフォンのメモアプリにも控えておくことを強くおすすめします。現地での通信手段の確保も忘れずに。eSIM比較の記事で海外でのスマホ通信手段について解説しています。
キャッシュレス診療に対応している場合は、保険会社から提携病院を案内してもらえます。提携病院で治療を受ければ、自己負担なしで(保険会社が病院に直接支払う形で)治療を受けられます。
キャッシュレス診療に対応していない場合は、いったん自分で医療費を支払い、帰国後に保険金を請求します。この場合、以下の書類が必要になります。
- 医師の診断書(できれば英語)
- 治療費の領収書・明細書
- パスポートのコピー(出入国記録がわかるもの)
- 保険金請求書(保険会社から送付されるもの)
現地で診断書と領収書を受け取るのを忘れないでください。後から取り寄せるのは非常に面倒で、場合によっては不可能なこともあります。
書類を保険会社に郵送すると、2〜4週間で指定口座に保険金が振り込まれるのが一般的です。
筆者はどの保険を選んでいるか
最後に、筆者自身がどのように保険を選んでいるかを書いておきます。
短期のアジア旅行(1〜2週間)の場合は、エポスカードの付帯保険だけで渡航することがほとんどです。疾病治療270万円あれば、東南アジアでの大半の医療トラブルはカバーできると判断しています。
ヨーロッパ旅行(1〜3週間)の場合は、エポスカードの付帯保険に加え、損保ジャパンoff!の最安プランを上乗せしています。合計で1,000万円以上の疾病治療補償を確保した上で、保険料は2,000円前後に収まります。
アメリカ旅行の場合は、AIG損保の治療費無制限プランに加入しています。アメリカの医療費はリスクの幅が広すぎるため、ここだけは保険料をケチらない方針です。
長期渡航(1か月超)の場合も、AIG損保の長期プランを利用しています。カード付帯保険は出国から90日以内が対象ですが、それを超える場合は個別保険で全期間をカバーする必要があります。
保険の選び方に正解はありません。ただ、「保険に入らない」という選択だけは避けるべきです。数千円の保険料で数百万円のリスクをカバーできる。これほど費用対効果の高い出費は、海外旅行においてほかにありません。
クレジットカードの付帯保険を軸にした保険戦略については、付帯保険だけで足りるか検証した記事も参考にしてください。海外旅行に持っていくカードの選び方は年会費無料カード5枚の比較記事、エポスカードの保険の詳細はエポスカード旅行保険の記事でそれぞれまとめています。
また、海外渡航時のスマホ通信についてはeSIM比較の記事、セキュリティ対策についてはVPN比較の記事もあわせてご覧ください。
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