中国出張・旅行で詰まないためのネット&決済準備まとめ
🇨🇳 中国 基本情報
- 通貨
- 人民元 (CNY)
- 言語
- 中国語(普通話)
- 時差
- UTC+8(日本 -1時間)
- ビザ
- 必要
- 電圧
- 220V
- プラグ
- A, C, I
はじめに:中国のネット環境は「別世界」です
筆者は仕事で上海と北京に何度か出張していますが、初めて中国に降り立ったときの衝撃は今でも覚えています。浦東空港に着いてスマホを見たら、Gmailが開かない。LINEも送れない。Googleマップも使えない。何が起きたのか一瞬わからなくて、空港のWi-Fiが壊れているのかと思いました。
もちろんWi-Fiは正常です。中国政府が運用している「グレートファイアウォール(金盾)」と呼ばれるネット検閲システムによって、海外の主要サービスが丸ごとブロックされているだけです。
ブロックされている主なサービスを挙げると、こうなります。
- Google全般(検索、Gmail、Googleマップ、Google Drive、Google カレンダー)
- LINE
- YouTube
- Twitter / X
- Facebook / Messenger
- ChatGPTなどの海外AIサービス
- Yahoo! JAPAN(部分的に不安定)
要するに、日本人が普段使っているサービスのほとんどが使えません。仕事のメールも、家族への連絡も、地図での店探しも、全部止まります。
だからこそ、中国に行くなら事前準備がすべてです。この記事では、筆者自身の出張経験をもとに、ネット規制対策・通信手段・決済方法をまとめました。
VPN:中国渡航で最も重要な準備
結論から言うと、中国ではVPNが命綱です。VPNを通せば、グレートファイアウォールの外にあるサーバー経由で通信できるので、Google、LINE、YouTubeなどが普通に使えるようになります。
出発前に必ずやること
VPNアプリのインストールと接続テストは、絶対に日本で済ませてください。
中国に入ってからでは、App StoreやGoogle Playへのアクセス自体が不安定になります。VPNのダウンロードページにたどり着けないという本末転倒な状況になるので、後回しにすると詰みます。筆者も1回目の出張で同僚がこれをやらかして、ホテルのフロントに頼んで別の端末でAPKファイルを落としてもらう、という面倒なことになりました。
VPN選びのポイント
中国向けのVPNで重要なのは、単純な速度よりも「中国で実際につながるかどうか」です。中国政府はVPN通信の検知と遮断を常にアップデートしているので、対応が遅いVPNだとある日突然つながらなくなる、ということが普通にあります。
筆者がVPN選びで重視しているのは以下の点です。
- 中国での接続実績があるか(「中国対応」を明言しているか)
- 接続が切れたときに自動で再接続してくれるか
- 日本のサーバーに接続できるか(日本のサービスを使うため)
- 複数デバイスで同時に使えるか(スマホとPC)
各VPNの具体的な比較はVPN比較記事でまとめていますので、そちらも参考にしてください。
実際の使用感
正直に言うと、中国でのVPN接続は常に快適とは限りません。特に中国の大きな政治イベント(全人代の時期など)前後は規制が強化されて、普段つながるVPNでも不安定になることがあります。
筆者の経験では、上海のホテルでは比較的安定していましたが、地下鉄の移動中などはVPNが切れやすかったです。複数のVPNをインストールしておいて、1つがダメなら別のを試す、という運用がいちばん確実です。
eSIM・通信手段:VPNとの組み合わせが鍵
中国での通信手段として、eSIMは便利な選択肢です。ただし、eSIMを入れただけではグレートファイアウォールの問題は解決しません。ここが他の国への旅行と決定的に違うところです。
eSIMの選択肢は3パターン
1つ目は、VPN機能が統合されたeSIMです。eSIM自体がVPNトンネルを通して通信する仕組みなので、別途VPNアプリを用意しなくても、Google やLINEがそのまま使えます。設定の手間が少ないのが最大のメリットです。eSIMを有効化するだけでネット規制を気にせず使えるので、ITに詳しくない方にはいちばんおすすめできます。ただし、通常のeSIMより割高になる傾向があります。
2つ目は、通常のeSIM+VPNアプリの組み合わせです。eSIMで現地の通信回線を確保して、その上でVPNアプリを起動する方式です。筆者はこのパターンで使うことが多いです。eSIMの料金を安く抑えられますし、VPNアプリ側で接続先サーバーを細かく選べるので自由度が高いです。ただし、VPNが切れるたびに手動で再接続する手間はあります。
3つ目は、空港で現地SIMを購入する方法です。浦東空港や首都空港のカウンターで買えます。ただし現地SIMなのでグレートファイアウォールの規制はそのまま適用されます。結局VPNアプリが別途必要なので、あえてこれを選ぶメリットは薄いと思います。
各eSIMサービスの料金や対応国の比較はeSIM比較記事にまとめています。
データ容量の目安
中国出張で5日間滞在した際、筆者のデータ使用量は約3〜4GBでした。ホテルのWi-Fiを併用しての数字なので、外出先でテザリングも多用する場合は5GB以上のプランが安全です。動画を頻繁に見る方はもっと必要になります。
決済事情:中国のキャッシュレスは日本の10年先を行っている
中国の決済事情を初めて体験すると、カルチャーショックを受けると思います。
上海の出張で実際にあったことですが、昼食を食べようとローカルの麺屋に入ったら、メニューがテーブルのQRコードを読み取る方式でした。注文もQRコード、支払いもQRコード。現金を出したら店員さんに困った顔をされました。お釣りの現金を店に置いていないんです。
中国では、WeChat Pay(微信支付)とAlipay(支付宝)の2大モバイル決済が完全に生活インフラになっています。コンビニ、タクシー、屋台、自動販売機、公共交通、果ては路上の果物売りまで、QRコード決済で完結します。
外国人旅行者の決済手段
では外国人はどうすればいいのか。選択肢を整理します。
現金(人民元)は、まだ使える場面もあります。中級以上のレストラン、ホテル、大型スーパーなら問題なく受け取ってもらえます。ただし前述のように小さな店ではお釣りが出ないこともあるので、100元札ばかりではなく、細かい紙幣を多めに用意しておくといいです。ATMは都市部のいたるところにありますので、国際キャッシュカードやクレジットカードのキャッシング機能で人民元を引き出せます。
Alipayは、2023年頃から外国人向けの機能が大幅に拡充されました。海外発行のVisa/Mastercardを登録すれば、中国国内のAlipay加盟店でQRコード決済ができます。筆者も直近の出張ではAlipayをかなり活用しました。ただし、登録手順がちょっと複雑で、パスポート情報の入力や本人確認が必要です。渡航前にアプリをインストールして、カード登録まで済ませておくことを強くおすすめします。
WeChat Payも外国カードの登録に対応しはじめていますが、WeChatアカウント自体の開設に中国の電話番号が求められるケースがあり、Alipayよりハードルが高い印象です。
クレジットカード(Visa/Mastercard)は、外資系ホテル、空港、大型ショッピングモールの一部店舗では使えます。ただし、街中のレストランやコンビニではまず使えないと思ってください。JCBはほぼ使えません。UnionPay(銀聯)ブランドのカードを持っていれば対応店舗はかなり増えますが、日本で銀聯カードを作っている人は少ないと思います。
筆者のおすすめ運用
筆者の場合、メインはAlipay、サブで現金、ホテルの支払いにクレジットカード、という3本立てで回しています。Alipayが使えれば9割の場面をカバーできますが、たまにアプリの調子が悪いときや、QRコード決済端末がない古い店もあるので、現金は常に2,000〜3,000元(約4万〜6万円)ほど持ち歩くようにしています。
海外旅行に最適なクレジットカードの組み合わせはクレカ攻略記事で詳しく紹介しています。
海外旅行保険:中国の医療費は想像より高い
中国、特に上海や北京の都市部で外国人が受診できる病院は、外資系クリニックが中心です。そしてこの外資系クリニックの費用がかなり高いです。
目安としては、風邪程度の外来でも初診料が1,000〜3,000元(約2万〜6万円)かかることがあります。入院になると1日あたり5,000〜20,000元(約10万〜40万円)という世界です。
筆者は海外旅行保険付きのクレジットカードを2枚持って、補償額を合算する形で対応しています。ただし、クレカ付帯保険だけでは補償上限が心もとない場合もあるので、滞在が1週間を超えるときは別途保険に加入するようにしています。
空港ラウンジ情報
北京首都国際空港 (PEK)
国際線ターミナル(T3)にプライオリティパス対応のラウンジがあります。BGS Premier Loungeは広くて食事も充実していますが、時間帯によってはかなり混みます。出発の2時間前には着いておきたいところです。
上海浦東国際空港 (PVG)
プライオリティパス対応ラウンジが複数あります。筆者がよく使うのはT2のNo.77 China Eastern Plaza Premium Loungeです。ヌードルバーがあって、出発前に温かい麺を食べられるのが地味にありがたいです。
広州白雲国際空港 (CAN)
プライオリティパス対応ラウンジあり。広州経由で移動する場合はトランジット時間に活用できます。
知っておくと助かる実践Tips
コンセント
中国のコンセントはA型(日本と同じ2ピン平行)が使える差込口が多いですが、ホテルによってはC型やI型しかない場合もあります。変換プラグを1つ持っていくと安心です。電圧は220Vなので、ドライヤーなどの熱器具は日本のものをそのまま使わないでください。スマホの充電器やノートPCのアダプターは100-240V対応がほとんどなので問題ありません。
チップ
中国にはチップの文化がありません。ホテルでもレストランでもタクシーでも不要です。むしろ渡すと困惑される場合があります。
治安
上海、北京などの大都市は基本的に安全です。夜間の一人歩きも、繁華街であれば問題ありません。ただし、観光地でのスリや、タクシーのぼったくりには注意してください。配車アプリの「滴滴出行(DiDi)」を使えばタクシー料金のトラブルはほぼ防げますが、このアプリも登録に中国の電話番号が必要な場合があります。
地図アプリ
Googleマップが使えない中国では、代替として百度地図(Baidu Maps)か高徳地図(Amap)を使うことになります。中国語インターフェースですが、目的地を漢字で入力すれば経路案内は十分使えます。VPN経由でGoogleマップを使う手もありますが、中国国内の詳細な地図データや交通情報は百度地図のほうが圧倒的に正確です。
翻訳アプリ
Google翻訳はVPNがないと使えないので、オフラインでも使える翻訳アプリを入れておくか、VPN経由で使う前提で準備してください。中国製の翻訳アプリ(百度翻訳など)はVPNなしで使えます。
Wi-Fi事情
ホテルはほぼ確実にWi-Fiがありますが、当然グレートファイアウォールの規制下です。外資系の高級ホテルでも例外ではありません。カフェやレストランのフリーWi-Fiも同様です。どの回線を使っても、VPNなしでは海外サービスにアクセスできないという点を忘れないでください。
準備チェックリスト(出発前に確認)
渡航前にやっておくべきことをリストにしました。
- VPNアプリを2つ以上インストール&接続テスト
- eSIMの購入・設定(VPN統合型 or 通常型+VPN)
- Alipayアプリのインストール&クレカ登録
- パスポートの残存有効期限を確認(6ヶ月以上が望ましい)
- ビザの取得(観光15日以内は免除の場合あり、最新情報を要確認)
- 海外旅行保険の確認・加入
- 現金(人民元)の両替、または現地ATMキャッシングの準備
- 百度地図 or 高徳地図のインストール
- 翻訳アプリのインストールとオフラインデータのダウンロード
- 変換プラグの準備(念のため)
中国は準備さえしっかりしていれば、食事もおいしいし、交通も便利だし、非常に快適に過ごせる国です。ただ、準備を怠ると途端に詰みます。特にネット環境は日本とまったく別の世界なので、VPNとeSIMの手配だけは絶対に出発前に完了させてください。
帰国後にやること
中国から帰国したら、スマホの設定を日本仕様に戻してください。特に中国ではVPNを常時ONにしていた方が多いと思いますが、VPNの切断も忘れずに。
- VPNをOFFにする(日本では不要)
- モバイルデータ通信の回線を日本のキャリアに戻す
- 海外eSIMの回線をOFFにする(または削除する)
- 機内モードをON→OFFにして回線を掴み直す
帰国便に乗る前にeSIMとVPNをOFFにしておけば、日本の空港に着いた瞬間から通常通り使えます。詳しい手順は帰国後の設定ガイドで解説しています。
よくある質問
中国でVPNは本当に必要ですか?
中国で日本のクレジットカードは使えますか?
中国旅行にeSIMは使えますか?
中国到着後にVPNアプリをダウンロードできますか?
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