中国で実際に使えたVPNはこの3つだけ|上海・北京で検証済み
浦東空港で味わった「ネット鎖国」の洗礼
2025年秋、上海浦東国際空港に降り立った瞬間のことを今でもはっきり覚えています。入国審査を終えて、取引先にLINEで到着連絡を送ろうとしたら、メッセージがいつまでも送信中のまま。Gmailも開かない。Googleマップも動かない。頭では知っていたはずなのに、実際に体験するとかなり焦りました。
空港の無料WiFiに接続して、事前にインストールしておいたVPNアプリを起動。ところが、最初に試したサービスはまったく繋がらない。サーバーリストを切り替えても、接続中のまま30秒、1分と過ぎていく。タクシー乗り場に向かいながら、別のVPNに切り替えてようやく接続できたときは、心底ほっとしました。
この経験から学んだのは、中国ではVPNの選択を間違えると本当に何もできなくなるということ。WeChat(微信)だけは問題なく使えますが、それ以外のサービスはほぼ全滅です。日本の取引先とのやりとり、ホテルの予約確認、地図での道案内、すべてVPN次第になります。
この記事では、筆者が上海と北京での計5回の出張で実際にテストした結果を元に、中国で本当に使えるVPNと、使えなかったVPNを正直に報告します。
グレートファイアウォールの現実
中国のインターネット検閲システム「金盾(グレートファイアウォール)」は、年々強化されています。2025年から2026年にかけての筆者の体験では、以下のサービスがVPNなしでは一切使えませんでした。
使えないサービスの一覧です。
- Google全般(検索、Gmail、マップ、YouTube)
- LINE、WhatsApp、Telegram
- Instagram、Facebook、X(旧Twitter)
- ChatGPT、Claude
- Slack、Notion
逆に、VPNなしでも使えたのはWeChat、Alipay、百度(Baidu)、微博(Weibo)、中国国内のサービス全般です。
厄介なのは、グレートファイアウォールがVPN通信そのものも検知してブロックする点です。単純なVPNプロトコル(OpenVPNやWireGuard)は高確率で遮断されます。だからこそ、通信を「普通のHTTPS通信」に偽装する難読化(Obfuscation)技術が不可欠になります。
中国で使えたVPN 3選
筆者が上海(浦東・静安エリア)と北京(朝陽区)のホテルWiFi環境で検証した結果、安定して接続できたのは以下の3つだけでした。
1. NordVPN ― 安定感で選ぶならこれ一択
筆者が中国出張で最も頼りにしているのがNordVPNです。NordVPNの詳細レビューはこちらで書いていますが、中国での使い勝手に絞って話します。
NordVPNには「難読化サーバー(Obfuscated Servers)」という専用カテゴリがあります。通常のサーバーリストからは見つけにくいのですが、設定画面からプロトコルをOpenVPN(TCP)に切り替えると、サーバー一覧に「Obfuscated Servers」が表示されます。
上海・静安のホテルで初めてNordVPNを使ったとき、最初は通常サーバーに接続してしまい繋がりませんでした。チャットサポートに問い合わせようにもサイト自体にアクセスできない。そこで事前に調べておいた手順を思い出し、難読化サーバーに切り替えたところ、15秒ほどで日本サーバーに接続できました。
接続してしまえば速度も十分で、ビデオ会議(Zoom、Google Meet)も問題なくこなせます。北京・朝陽区のビジネスホテルでも同様に安定していました。
接続成功率は約90%。たまに繋がらないこともありますが、サーバーを変えれば大抵解決します。日本サーバーへの接続で下り15〜30Mbps程度。ビジネス利用には十分な速度です。
注意点として、中国入国前に必ずアプリのインストールと難読化サーバーの設定を済ませておく必要があります。中国国内からはNordVPNの公式サイトにアクセスできません。
2. ExpressVPN ― 中国対策の老舗
ExpressVPNは中国での利用実績が長く、グレートファイアウォール対策にかなり力を入れているサービスです。
北京出張の際、NordVPNがどうしても繋がらない時間帯がありました(おそらくグレートファイアウォールの一時的な強化)。そのとき代替として試したExpressVPNは、独自プロトコル「Lightway」で5秒ほどで接続できて驚きました。
ExpressVPNの強みは、アプリが中国での利用を想定した設計になっている点です。接続先を自動で最適化する機能があり、VPNに詳しくない人でも「接続」ボタンを押すだけで使えます。難読化の設定を手動で行う必要がありません。
接続成功率は約85%。自動接続の精度が高いので、サーバー選択で迷うことが少ないです。速度は日本サーバーへの接続で下り10〜25Mbps程度。NordVPNよりやや遅い印象ですが、実用上の問題はありません。
ただし、料金がやや高めなのがネックです。月額で比較するとNordVPNの1.5倍ほどになります。中国出張が頻繁にある方や、設定に自信がない方には、この使いやすさに対する投資として十分価値があります。
3. MillenVPN ― 日本発で日本語サポートが安心
MillenVPNは日本のアズポケット社が運営するVPNサービスで、中国での利用に力を入れています。
2026年の上海出張で初めて試しましたが、中国向けの接続方式として「MillenVPN Native OpenConnect」というアプリが別途用意されています。通常のVPNアプリとは別にこちらもインストールしておく必要がありますが、中国国内ではこのOpenConnect方式が安定して接続できました。
日本企業ならではの利点として、サポートが完全に日本語対応です。出国前に「中国で使いたい」と問い合わせたところ、最新の接続手順を記載したPDFを送ってもらえました。中国国内からの接続方法、トラブルシューティング、代替サーバーの情報まで、かなり丁寧な内容でした。
接続成功率は約80%。NordVPNやExpressVPNに比べると若干不安定な場面もありましたが、OpenConnect方式であれば概ね繋がります。速度は下り10〜20Mbps程度です。
料金は月額396円(2年プラン)からと、海外サービスと比べてもかなり手頃です。日本語環境で完結させたい方、初めてのVPN利用で不安がある方に向いています。
中国で使えなかったVPN
すべてのVPNが中国で機能するわけではありません。筆者が実際に試して接続できなかった、あるいは不安定だったサービスも正直に書いておきます。
Surfshark ― 繋がるが不安定
Surfsharkは通常の利用環境では優秀なVPNですが、中国では苦戦しました。NoBordersモードを有効にして試したところ、接続自体はできることがあるものの、5分〜10分で切断されることが繰り返されました。
上海のホテルで夜にメールを確認しようとしたとき、Surfsharkで接続→切断→再接続を3回繰り返した末、諦めてNordVPNに切り替えました。安定性という観点では、中国での利用はおすすめできません。
CyberGhost ― 完全にブロック
CyberGhostは筆者のテスト環境では一度も接続できませんでした。上海でも北京でも、どのサーバーを選んでも接続がタイムアウトします。CyberGhost自体はVPN比較記事でも紹介しているとおり、一般的な用途では悪くないサービスですが、中国での利用は想定していないようです。
無料VPN全般 ― 論外
念のため複数の無料VPNも試しましたが、どれも中国では全く使い物になりませんでした。そもそも無料VPNはセキュリティリスクが高く、中国のような環境で使うのは危険です。通信内容が傍受される可能性も否定できません。
渡航前に必ずやること ― 準備チェックリスト
中国に着いてからでは遅い作業がいくつかあります。筆者が初回の出張で痛い目に遭った経験から、渡航前の準備リストを共有します。
VPNのインストールと設定について。中国国内からはVPNアプリのダウンロードができません。App StoreもGoogle Playも、VPN関連アプリは中国リージョンでは表示されません。出発前にインストールし、一度接続テストを行い、アカウントにログインした状態にしておいてください。
難読化サーバーの確認について。NordVPNの場合、設定でプロトコルをOpenVPN(TCP)に変更し、難読化サーバーが表示されることを確認してください。この手順を中国到着後に初めてやろうとすると、NordVPNのヘルプページにアクセスできなくて詰みます。筆者は初回の上海出張でまさにこれをやらかしました。
複数のVPNを用意すること。これは本当に大事です。グレートファイアウォールは常にアップデートされていて、昨日繋がったサーバーが今日は繋がらないことがあります。NordVPN+ExpressVPN、あるいはNordVPN+MillenVPNのように、2つのサービスを入れておくことを強くおすすめします。
WeChatのインストールについて。VPNが万が一すべて繋がらなくなった場合の生命線です。WeChatは中国国内で制限なく使えるので、日本の同僚や取引先にもWeChatアカウントを作ってもらっておくと安心です。
オフライン地図のダウンロードについて。Google マップが使えない前提で、百度地図か高徳地図をインストールしておくか、Google マップのオフラインエリアを日本で事前にダウンロードしておいてください。
中国滞在中の接続テクニック
実際に中国で過ごした中で見つけた、VPN接続を安定させるコツをいくつか紹介します。
朝と深夜が繋がりやすい傾向があります。ネットのトラフィックが少ない時間帯は、VPN接続も安定しやすい印象でした。逆に、昼休みや夕方から夜にかけては接続が不安定になることが多かったです。特に北京では、政治的なイベントの前後にファイアウォールが一時的に強化されるという話もあります。
サーバーの切り替えを恐れないこと。日本サーバーが繋がらなければ、シンガポールや台湾のサーバーを試してください。筆者は北京滞在中、日本サーバーが軒並み接続できない夜があり、シンガポールサーバーに切り替えたら一発で繋がりました。速度はやや落ちますが、繋がらないよりはましです。
一度繋がったら切らないこと。VPN接続が確立したら、できるだけ維持し続けてください。スマホをスリープにするとVPNが切れるアプリもあるので、NordVPNの場合は「自動接続」をオンに、ExpressVPNの場合は「Network Lock(キルスイッチ)」を有効にしておくと、再接続がスムーズです。
ホテルのWiFiは部屋によって差があります。上海のホテルで、1泊目の部屋ではVPNが不安定だったのに、チェックアウト日に移動したラウンジでは快適に繋がったことがありました。WiFiアクセスポイントとの相性もあるようです。
モバイルデータ通信という選択肢
VPNとは別のアプローチとして、香港SIMやeSIMを使う方法があります。香港経由のローミング通信はグレートファイアウォールの対象外になるため、VPNなしでもGoogleやLINEが使える場合があります。
筆者は2回目以降の出張から、VPN+香港eSIMの二重体制にしました。ホテルのWiFiではVPN、外出先ではeSIMのモバイルデータという使い分けです。eSIMは1日あたり数百円程度のコストですが、確実にネットに繋がる安心感は大きいです。
ただし、eSIM経由でも一部のサービスが不安定になることはあります。完全な代替にはならないので、VPNとの併用が現実的な対策です。中国渡航の準備については別記事でも詳しくまとめています。
VPN選びの比較まとめ
中国で検証した3つのVPNの比較をまとめます。
NordVPNは接続成功率が約90%、速度が15〜30Mbps、難読化サーバー対応で月額約550円(2年プラン)です。設定にひと手間かかりますが、安定感は抜群です。
ExpressVPNは接続成功率が約85%、速度が10〜25Mbps、Lightwayプロトコル対応で月額約900円(1年プラン)です。アプリ任せで繋がる手軽さが魅力です。
MillenVPNは接続成功率が約80%、速度が10〜20Mbps、OpenConnect対応で月額396円(2年プラン)です。日本語サポートと価格の安さが光ります。
筆者の個人的なおすすめは、メインにNordVPN、サブにExpressVPNかMillenVPNを入れておく組み合わせです。VPNサービスの総合比較はこちらの記事にまとめてあるので、中国以外の用途も含めて検討したい方は参考にしてください。
結論 ― 準備がすべてを決める
中国でのVPN利用は、事前準備で9割が決まります。現地に着いてからどうにかしようとしても、アプリのダウンロードすらできません。
筆者が浦東空港で焦ったあの経験は、準備不足が原因でした。難読化サーバーの設定を日本で済ませていれば、到着後すぐに接続できたはずです。
中国出張や旅行を控えている方は、出発の少なくとも1週間前にはVPNの契約とセットアップを終わらせてください。そして必ず2つ以上のサービスを用意すること。グレートファイアウォールは進化し続けていますが、適切なVPNと準備があれば、日本にいるときとほぼ変わらないネット環境を確保できます。
よくある質問
中国でVPNを使うのは違法?
中国に着いてからVPNをダウンロードできる?
中国でLINEは使える?
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