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海外でリモートワークするためのネット環境|必要な速度とツール

海外でリモートワークをする上で最も重要なのは、安定した通信環境の確保です。ノートPCとパスポートさえあればどこでも働ける時代ですが、回線が不安定なままでは仕事になりません。

筆者はこの2年間で、バンコク、バリ、リスボン、ソウルなど複数の都市でリモートワークを経験してきました。その中で痛感したのは、「WiFiがある=仕事ができる」ではないということです。Zoom会議の途中で画面が固まる、Slackの通知が数分遅れて届く、Googleドライブのファイルがいつまでも開かない。通信環境が不十分だと、生産性は一気に下がります。

この記事では、海外リモートワークに必要な回線速度の具体的な数値、作業場所の選び方、通信手段の使い分け、VPNの必要性、そして人気ワーケーション先の通信環境を実体験ベースでまとめます。

リモートワークに必要な回線速度の目安

まず、業務で使うツールごとに必要な回線速度を整理します。ここでは下り(ダウンロード)速度を基準にしています。

業務内容必要な下り速度上り速度の目安
メール送受信1Mbps1Mbps
Slack・Teamsチャット1〜2Mbps1Mbps
Zoom(音声のみ)1Mbps0.8Mbps
Zoom(ビデオ通話1対1)3Mbps3Mbps
Zoom(画面共有あり)5Mbps5Mbps
Zoom(グループ通話)5〜8Mbps3Mbps
Google Workspace(ドキュメント・スプレッドシート)3〜5Mbps2Mbps
大容量ファイルのアップロード-10Mbps以上推奨

Zoom公式が推奨するグループビデオ通話の速度は下り3.8Mbps / 上り3.0Mbpsです。ただしこれは最低限の数値であり、安定して使うには5Mbps以上を確保したいところです。

筆者の経験上、下り10Mbps以上、上り5Mbps以上あれば、オンライン会議を含むほとんどの業務が快適にこなせます。逆に、下り5Mbpsを下回ると会議中に映像が途切れ始め、3Mbps以下になるとカメラをオフにしないと音声すらまともに通らないことがあります。

回線速度は「最高速度」ではなく「安定速度」で判断してください。ホテルのWiFiが「最大100Mbps」と謳っていても、夕方に宿泊客が一斉に使い始めると実効速度が5Mbps以下に落ちることはよくあります。

速度測定にはSpeedtest(fast.com)を使います。現地に着いたら、作業を始める前に必ず速度を測ってください。朝・昼・夕の3回測定して、最も遅い時間帯の数値で判断するのが安全です。

作業場所の選び方:コワーキング、ホテル、カフェ

海外でリモートワークする場合、作業場所の選択が通信品質に直結します。

コワーキングスペース:最も安定した選択肢

結論から言えば、重要な会議がある日はコワーキングスペースを利用するのが最善です。コワーキングスペースは仕事をする人のために設計されているので、回線速度・安定性ともにホテルやカフェとは次元が違います。

バンコクのTrue Digital Park内のコワーキングスペースでは、下り100Mbps以上が安定して出ていました。バリのCangguにあるDojo Baliでは50〜80Mbps。リスボンのSecond Homeでは40〜60Mbps。いずれも業務に必要な速度を大幅に上回っています。

料金は都市によりますが、1日パスで1,000〜3,000円、月額で15,000〜40,000円が相場です。1〜2週間の滞在なら1日パスかウィークリーパスが費用対効果に優れています。

コワーキングスペースのもうひとつの利点は、電源と椅子がしっかり用意されている点です。当たり前のことに聞こえますが、海外のカフェではコンセントが使えなかったり、椅子が長時間座るには辛かったりすることが珍しくありません。

ホテル:当たり外れが大きい

ホテルのWiFiは品質のばらつきが最大の課題です。

中〜高級ホテルであれば20〜50Mbps出ることが多いですが、格安ホテルやゲストハウスでは5Mbps以下のところもあります。部屋の位置によっても速度が変わり、ルーターから離れた部屋では接続が不安定になることがあります。

ホテル選びで通信環境を重視するなら、以下のポイントを事前に確認してください。

  • Booking.comやGoogleマップのレビューで「WiFi」に言及しているコメントを探す
  • ホテルの公式サイトで「ビジネスセンター」や「高速WiFi」の記載を確認する
  • 可能であれば事前にホテルに直接メールして回線速度を聞く

筆者はバリのウブドにあるヴィラに1週間滞在したとき、WiFi速度が下り3Mbpsしか出ないことが到着後に判明しました。メールとチャットはなんとかなりましたが、Zoom会議がまったく安定せず、近くのカフェに移動して会議に参加する羽目になりました。事前のリサーチ不足が原因です。

カフェ:短時間の作業向き

海外のカフェで作業するのは気分転換にはなりますが、メインの作業場所にするには不安が残ります。

WiFiの速度が開示されていないことが多く、混雑時には極端に遅くなります。電源が使えない席もあります。長時間居座ることへの許容度も店によって異なります。そして何より、周囲の雑音が気になってオンライン会議には不向きです。

カフェはメールの返信やドキュメント作成など、オフラインでもできる軽い作業に留めておくのが無難です。

通信手段の使い分け:WiFi+eSIMの二重体制

海外リモートワークで筆者が強く推奨するのは、WiFiとeSIMの二重体制です。

WiFiをメイン回線にする理由は明快で、データ量を気にせず使えるからです。Zoom会議1時間で500MB〜1.5GBのデータを消費しますが、WiFi環境であればこのデータ消費を気にする必要がありません。

一方、eSIMはバックアップ回線として持っておきます。ホテルのWiFiが落ちたとき、カフェのWiFiが遅すぎるとき、移動中に急ぎの対応が入ったとき。こうした「WiFiが使えない場面」でeSIMの回線に切り替えることで、業務が止まるリスクを最小化できます。

実際に筆者がリスボンで仕事をしていたとき、ホテルのWiFiが朝の9時頃から夕方まで不安定になる日が何度かありました。原因は不明ですが、近くの工事の影響かもしれません。そのときはeSIMの回線に切り替えてZoom会議を乗り切りました。WiFiだけに頼っていたら、会議をキャンセルするしかなかったでしょう。

eSIMの選び方は滞在日数とデータ消費量で決まります。

滞在期間メール・チャット中心会議が週2〜3回会議がほぼ毎日
1週間1〜3GBプラン3〜5GBプラン5〜10GBプラン
2週間3〜5GBプラン5〜10GBプラン10GB以上 or 追加購入
1ヶ月5〜10GBプラン10〜20GBプラン無制限プラン推奨

WiFiがメインであれば、eSIMの消費量はそこまで多くなりません。あくまでバックアップとして3〜5GBプランを入れておけば、大抵の場合は余るくらいです。

各社のeSIMプランの詳細はeSIM比較記事でまとめています。

VPNの必要性:セキュリティと地域制限の2つの理由

海外リモートワークでVPNが必要になる場面は、大きく分けて2つあります。

セキュリティ目的のVPN

ホテルやカフェのWiFiは暗号化が不十分なケースがあり、通信内容を第三者に傍受されるリスクがあります。業務で機密情報を扱う場合、VPNで通信を暗号化するのは最低限のセキュリティ対策です。

特に以下の業務を行う場合はVPN必須と考えてください。

  • 社内システムやVPN経由でないとアクセスできない業務ツールの利用
  • 顧客の個人情報や契約書などの機密ファイルの閲覧・編集
  • オンラインバンキングや経費精算システムの操作

会社からVPNが支給されている場合はそれを使います。支給されていない場合や、個人事業主・フリーランスの場合は、NordVPNやExpressVPNなどの商用VPNサービスを契約しておくことを推奨します。月額1,000〜1,500円程度で、通信の暗号化が手軽に実現できます。

VPNの比較はVPN比較記事を参照してください。

地域制限を回避するためのVPN

中国では、Google、Gmail、Googleドライブ、Slack、Zoom、ChatGPT、WhatsAppなどの主要サービスがブロックされています。これらは多くの企業でリモートワークの基幹ツールになっているため、VPNなしでは仕事にならないと言っても過言ではありません。

UAEでもVoIP通話(WhatsApp通話、FaceTime、LINE通話など)が制限されています。ビデオ会議ツールは基本的に使えますが、一部のVoIP機能がブロックされることがあるため、VPNを準備しておくのが安全です。

ベトナムやトルコでも一部のWebサイトやサービスがブロックされることがあります。渡航先のネット規制事情は事前に調べておいてください。

デジタルノマド向けのVPN活用法はデジタルノマドのVPN運用で詳しく解説しています。

人気ワーケーション先の通信環境

筆者の実体験と、現地のデジタルノマドコミュニティの情報を基に、人気のワーケーション先の通信環境を評価します。

バンコク(タイ):通信環境は申し分ない

バンコクはデジタルノマドの聖地と呼ばれるだけあって、通信インフラが非常に整っています。

コワーキングスペースでは50〜100Mbps以上が安定。中級以上のホテルでも20〜50Mbpsが出ます。カフェ(特にチェーン系)も10〜30Mbpsと十分です。

eSIMの料金も安く、タイ7日間の3GBプランが500〜800円程度。現地SIMも空港で簡単に買えます。コワーキングスペースの料金も月額5,000〜15,000円と、日本と比べて格段に安いです。

唯一の注意点は、スクンビット周辺のコンドミニアムやサービスアパートメントはWiFi品質にばらつきがあることです。Airbnbで長期滞在する場合は、レビューでWiFi速度に触れているコメントを必ず確認してください。

バリ(インドネシア):エリアで差が激しい

バリは「場所さえ選べば快適」という表現が最も適切です。

チャングーやスミニャックのコワーキングスペース(Dojo Bali、Outpost、Tropical Nomadなど)は30〜80Mbpsが安定して出ており、仕事環境として問題ありません。

一方、ウブドの山間部や、ヌサペニダなどの離島では、通信環境が一気に不安定になります。筆者がウブド郊外のヴィラで仕事をしようとしたとき、WiFiが3Mbpsしか出ず、eSIMの4G回線も10Mbps程度が限界でした。

バリでリモートワークするなら、チャングーかスミニャックを拠点にするのが安全です。ウブドに行くのは休日だけにして、仕事がある日は通信環境の整ったエリアに戻るという使い分けが現実的です。

リスボン(ポルトガル):ヨーロッパのノマドハブ

リスボンはヨーロッパでのリモートワーク先として近年人気が急上昇しています。

コワーキングスペース(Second Home、Outsite、Heden等)は40〜100Mbpsが安定。カフェ文化が根付いているため、電源・WiFi完備のカフェも多いです。

ポルトガルのモバイル回線は4G/5Gカバレッジが広く、eSIMでも都市部では20〜50Mbps出ます。ヨーロッパ周遊プランのeSIMを使えば、ポルトガルだけでなく周辺国への移動時もそのまま使い続けられます。

注意点としては、リスボンの旧市街にある古い建物はWiFiの電波が通りにくいことがあります。石造りの壁が厚いため、ルーターから離れた部屋では速度が落ちがちです。Airbnbで古い建物に泊まる場合は、eSIMのバックアップ回線があると安心です。

ソウル(韓国):通信速度は世界トップクラス

韓国のインターネット速度は世界でもトップクラスです。ソウルのホテルやカフェでは100Mbps以上が普通に出ます。

コワーキングスペースの選択肢も豊富で、WeWork Seoul、FASTFIVE、Sparkplusなど、日本のWeWorkと同等の環境が整っています。

eSIMの韓国プランも安く、3日間1GBで400〜600円、7日間3GBで800〜1,200円程度です。ただし、韓国ではフリーWiFiの速度も十分なので、eSIMの出番はバックアップ程度です。

通信環境に関しては、ソウルでリモートワークが困難になる場面はほぼ考えられません。

海外リモートワークの通信トラブルと対処法

実際に海外で仕事をしていると、予期しない通信トラブルに遭遇します。筆者が経験した事例と対処法をまとめます。

ホテルのWiFiが突然切れるケースは最も多い問題です。対処法は、すぐにeSIMのモバイルデータに切り替えること。iPhoneであれば「設定」→「WiFi」をオフにするだけで、自動的にeSIMの回線に切り替わります。この切り替えを会議中に行っても、5〜10秒で復帰できます。

WiFiのパスワードが変わっている、あるいはログイン画面が表示されるケースもあります。ホテルのWiFiは24時間ごとに再認証が必要な場合があり、ブラウザでログイン画面を開き直す必要があります。VPNを接続した状態だとログイン画面が表示されないことがあるので、一旦VPNを切ってから再認証してください。

特定のサービスだけが遅い場合は、ISP(インターネットサービスプロバイダー)の問題かもしれません。VPNのサーバーを別の国に切り替えることで改善することがあります。

持ち物チェックリスト

海外リモートワークに出発する前に、通信関連で準備しておくべきものをリストにします。

  • eSIM:渡航先に合ったプランを出発前に購入・インストール済みにしておく
  • VPN:サブスクリプション契約済み、アプリインストール済み、動作確認済み
  • モバイルバッテリー(10,000mAh以上推奨)
  • 変換プラグ(渡航先のコンセント形状を確認)
  • Type-Cケーブル(予備を1本)
  • イヤホン・ヘッドセット(オンライン会議用)
  • コワーキングスペースの候補リスト(住所・営業時間・料金を控えておく)

eSIMの設定に不安がある方は、eSIM設定ガイドを事前に確認しておくと安心です。また、ホテルのWiFiセキュリティについてはホテルWiFiの安全対策で詳しく解説しています。

海外リモートワークに適したVPNサービスの比較はVPN主要5社の比較記事にまとめています。

まとめ:安定した通信環境は投資と考える

海外リモートワークにおいて、通信環境は「あればいい」ではなく「確実に必要」なインフラです。

回線が不安定なせいで会議に遅刻したり、クライアントとの通話が途切れたりすれば、信頼の毀損につながります。コワーキングスペースの1日利用料やeSIMの購入費用は、安定した仕事環境への投資と考えてください。

最後に、海外リモートワークの通信環境で失敗しないための3つの原則をまとめます。

1つ目。WiFiとeSIMの二重体制を組むこと。WiFiが主回線、eSIMがバックアップ。どちらかが使えなくなっても業務が止まらない体制を作る。

2つ目。重要な会議がある日は通信環境が確実な場所を確保すること。ホテルの部屋ではなく、コワーキングスペースやビジネスセンターを使う。

3つ目。VPNは「使うかもしれない」ではなく「常に使える状態」にしておくこと。セキュリティのためにも、地域制限対策のためにも、契約と設定は渡航前に完了させておく。

この3つを押さえておけば、世界のどこにいても日本と変わらない業務環境を維持できます。

よくある質問

海外でZoom会議はできる?
できます。ビデオ通話には下り3Mbps以上、画面共有には5Mbps以上が推奨です。都市部のホテルやコワーキングスペースなら問題ないケースがほとんどです。
海外リモートワークにeSIMで足りる?
メールやチャットなら問題ありませんが、Zoom会議を頻繁にする場合はeSIMのデータ量だけでは足りない可能性があります。WiFiをメイン、eSIMをバックアップとして使い分けるのがベストです。
海外リモートワークでVPNは必要?
社内システムへのアクセスや機密情報の取り扱いがある場合は必須です。また、中国やUAEなどネット規制のある国では業務ツール(Google、Slack等)の利用にVPNが必要になります。

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