ドバイでLINE通話ができない|UAE旅行で必要なVPN対策
ドバイに着いて、ホテルにチェックインして、日本の家族にLINEで電話しようとしたら繋がらない。発信ボタンを押しても無音のまま、数秒後に切れる。
これ、ドバイあるあるです。知らずに渡航する日本人旅行者が毎年かなりの数います。
結論から言います。ドバイ(UAE)ではLINEの音声通話とビデオ通話が使えません。テキストメッセージは普通に送受信できますが、通話だけがブロックされています。LINE以外にも、FaceTime、Skype、WhatsApp通話なども同様に規制対象です。
この記事では、UAEのVoIP規制の仕組み、何が使えて何が使えないのか、そしてVPNを使った具体的な対策を解説します。ドバイ旅行を計画中の方は、出発前に必ず目を通してください。
UAEのVoIP規制とは何か
まず、なぜドバイでLINE通話ができないのかを説明します。
UAE(アラブ首長国連邦)では、インターネット経由の音声通話サービス(VoIP: Voice over Internet Protocol)が規制されています。これは一時的な制限ではなく、国の通信政策として長期間にわたって続いているものです。
UAEの通信市場は、duとEtisalat(現e&)という2つの国営通信事業者が支配しています。この2社は国際電話や音声通話で大きな収益を得ており、LINEやWhatsApp、FaceTimeのような無料通話サービスは、彼らのビジネスにとって直接的な脅威です。
簡単に言えば、無料のインターネット通話が普及すると国営通信会社の売上が減る。だから国としてVoIPをブロックしている。これがUAEのVoIP規制の本質です。
中国のインターネット規制が「情報統制」を目的としているのに対し、UAEの規制は「通信事業者の収益保護」が主な動機です。目的が違うため、規制の範囲も異なります。中国ではLINEのテキストメッセージを含めてアプリ全体がブロックされますが、UAEではテキスト機能はそのまま使えて、音声通話の部分だけがピンポイントで止められています。
何が使えて、何が使えないのか
ドバイでの通信規制は「全部ダメ」ではなく「通話だけダメ」という特殊な状態です。旅行者が混乱しやすいポイントなので、カテゴリ別に整理します。
問題なく使えるもの
以下のサービスは、VPNなしで普通に使えます。
- LINEのテキストメッセージ(トーク)
- LINEのスタンプ送受信
- LINEの写真・動画共有
- Instagram(投稿、ストーリーズ、DM)
- X(旧Twitter)
- Google検索、Googleマップ、Gmail
- YouTube
- Safari、Chromeでの通常のWeb閲覧
- WhatsAppのテキストメッセージ
普段使いのSNSやメッセージアプリのテキスト機能は、ほぼすべて問題ありません。ドバイ旅行中にInstagramで写真を投稿したり、LINEでテキストを送ったりする分には、何の対策も不要です。
ブロックされるもの
以下のサービスは、VPNなしでは利用できません。
- LINEの音声通話、ビデオ通話
- FaceTime(音声、ビデオともに)
- Skypeの音声通話、ビデオ通話
- Facebook Messengerの音声通話、ビデオ通話
- Google Meetの通話機能
- Discord の音声チャンネル
共通点は「インターネット経由の音声・ビデオ通話」であることです。duとEtisalatのネットワーク上でVoIPプロトコルが検知されると、通信がブロックされる仕組みです。
状況が変化しつつあるもの:WhatsApp通話
WhatsAppの音声通話については、状況が流動的です。
2024年以降、UAEではWhatsApp通話の段階的な緩和が報じられています。実際にWhatsApp通話が繋がったという報告は増えていますが、時間帯やネットワーク環境によって繋がらないケースも依然としてあります。
筆者の調査では、2025年後半の時点でWhatsApp通話が「だいたい繋がる」状態にはなっていますが、「確実に繋がる」とは言い切れない状況です。仕事の打ち合わせや家族への定時連絡など、確実に通話が必要な場面では、WhatsAppの緩和に頼るよりもVPNを準備しておくほうが確実です。
なお、LINEの音声通話とFaceTimeについては、2026年3月時点で緩和の明確な動きはありません。
VPNを使えば通話できる
VoIP規制の回避方法はシンプルです。VPN(Virtual Private Network)を使って、通信を日本のサーバー経由にすることで、UAEのVoIPブロックを回避できます。
仕組みを簡単に説明します。VPNをオンにすると、スマホの通信はすべて暗号化されたトンネルを通って海外のサーバーに送られます。日本のサーバーに接続した場合、UAE側のネットワークからは暗号化されたデータが流れているだけに見え、それがLINE通話なのかWebサイトの閲覧なのか判別できません。
結果として、VoIPブロックをすり抜けて通話ができるようになります。VPNをオンにした状態でLINE通話を発信すれば、日本にいるときと同じように通話が繋がります。
UAEで実績のあるVPNサービス
UAEでVPNを使う場合、どのサービスでも良いわけではありません。UAEの通信事業者は通常のVPN通信も検知してブロックすることがあるため、「難読化(obfuscation)」機能を持つサービスを選ぶ必要があります。
難読化とは、VPN通信であること自体を隠す技術です。通常のVPN接続は特有のパケットパターンを持っており、高度な検知システムはこれを識別できます。難読化機能は、VPN通信を通常のHTTPS通信に偽装することで、検知を回避します。
この条件を満たすサービスとして、以下の2つを挙げます。
NordVPNは、筆者が最もおすすめするサービスです。UAEでの接続実績が豊富で、難読化サーバーを標準で提供しています。アプリの設定画面から「難読化サーバー」を選択するだけで、UAEのVPNブロックを回避できる仕組みになっています。2年プランで月額約510円、6,400台以上のサーバーを111か国に展開しており、通信速度も安定しています。30日間の返金保証付きなので、旅行前に試してみて合わなければ返金も可能です。詳しくはVPN比較記事を参考にしてください。
ExpressVPNも、UAEでの利用実績があるサービスです。独自の「Lightway」プロトコルを採用しており、難読化への対応も組み込まれています。通信速度の面ではNordVPNと同等かやや上ですが、料金は月額換算で700〜900円程度とやや高めです。速度を最優先する場合は検討する価値があります。
どちらを選ぶか迷った場合は、料金と性能のバランスからNordVPNをおすすめします。
VPNの利用は違法ではない
「ドバイでVPNを使ったら捕まるのでは」と心配する方もいると思います。これは誤解です。
UAE連邦法では、VPNの利用自体を違法としているわけではありません。規制対象となるのは、VPNを使って違法行為を行うことです。具体的には、詐欺、ハッキング、テロ関連の通信、名誉毀損にあたるコンテンツの閲覧や配信などが該当します。
旅行者が日本の家族にLINEで電話をかけるためにVPNを使う。これは違法行為には該当しません。ドバイに住む外国人駐在員の多くも、日常的にVPNを利用して家族との通話や母国のコンテンツ視聴を行っています。
ただし、VPNを使って以下の行為を行うことは、UAE法のもとで厳しい罰則の対象になります。
- 詐欺や不正アクセスなどの犯罪行為
- UAE政府を批判するコンテンツの配信
- UAEの法律で禁止されているコンテンツ(ポルノなど)の閲覧
- 違法なギャンブルサイトへのアクセス
要するに「VPNを使うこと」ではなく「VPNを使って何をするか」が問題です。普通の旅行者が普通の用途で使う分には、心配する必要はありません。
ドバイ旅行でVPNが必要になるシーン
VoIP通話だけでなく、ドバイ旅行中にVPNがあると助かる場面は意外と多いです。
日本の家族・友人への通話
最も多いケースです。「ホテルに着いたよ」「明日の予定は」といった日常的な通話が、VPNなしではできません。テキストメッセージで済ませることもできますが、長時間のやりとりや緊急の連絡には音声通話のほうが圧倒的に早いです。特に小さな子供がいる家庭では、毎晩のビデオ通話が日課になっていることも多いでしょう。
仕事関連のビデオ会議
ドバイ出張中にZoomやTeamsで日本のオフィスと会議を行う場合、VoIP規制の影響を受けます。VPNなしではビデオ会議ツールの音声が通らない可能性があります。出張の場合はビジネス出張向けVPN記事も合わせてご覧ください。
海外から日本の動画配信サービスを視聴
これはVoIP規制とは別の話ですが、VPNで日本のサーバーに接続していれば、ドバイのホテルからTVerやABEMAなど日本の動画配信サービスを視聴できます。長時間のフライト後にホテルで日本のテレビ番組を見てリラックスしたい、というニーズは多いです。
フリーWiFiでのセキュリティ確保
ドバイモール、空港、カフェなどのフリーWiFiを使う際、VPNで通信を暗号化しておくことでセキュリティリスクを軽減できます。eSIMで自分の回線を持っていればフリーWiFiに頼る場面は少なくなりますが、万が一のバックアップとしてVPNを入れておく意味はあります(フリーWiFiのリスクについてはこちら)。
VPN設定は必ず日本で済ませておく
ここが最も重要なポイントです。VPNアプリのインストールとアカウント設定は、必ず日本にいる間に完了させてください。
理由は2つあります。
1つ目は、UAEでVPNサービスのWebサイトにアクセスできない場合があることです。NordVPNやExpressVPNの公式サイトは、UAE国内からアクセスがブロックされていることがあります。つまり、現地に着いてから「やっぱりVPNが必要だ」と思っても、契約やダウンロードができない可能性があります。
2つ目は、App StoreやGoogle Playでの配信状況が国によって異なることです。UAEのApp Storeでは一部のVPNアプリが表示されない場合があります。日本のApp Storeアカウントを持っていれば問題ないケースが多いですが、確実を期すなら出発前にダウンロードしておくのが安全です。
設定の手順は以下のとおりです。
- 日本でVPNサービスに契約する(NordVPNの2年プランがおすすめ)
- スマホにアプリをインストールする
- アカウントにログインする
- 日本にいる状態でVPN接続をテストする
- 設定画面で「難読化サーバー」の接続方法を確認しておく
ここまで済ませておけば、ドバイに到着後はアプリを開いて接続ボタンを押すだけです。VPNの詳しい設定手順はVPN設定ガイドにまとめています。
eSIMとVPNの組み合わせで通信は万全
ドバイ旅行の通信環境を万全にするなら、eSIMとVPNの両方を準備するのがベストです。
eSIMが解決するのは「インターネット接続」の問題です。空港に着いた瞬間からモバイルデータ通信が使えるようになり、WiFiスポットを探し回る必要がなくなります。料金もキャリアのデータローミングと比べて大幅に安く済みます。
VPNが解決するのは「VoIP規制」の問題です。eSIMでデータ通信ができても、VoIP通話はブロックされたままです。VPNをオンにすることで初めて、LINEの音声通話やFaceTimeが使えるようになります。
つまり、eSIMとVPNはそれぞれ別の問題を解決しています。どちらか一方ではなく、両方を準備するのが正解です。
設定の順番としては、まずeSIMをインストールして現地でデータ通信ができる状態を作り、そのうえでVPNアプリを起動して接続する、という流れです。eSIMの設定方法はeSIM設定ガイドを、eSIMサービスの選び方はeSIM比較記事を参考にしてください。
ドバイ渡航前チェックリスト
最後に、ドバイ旅行前にやっておくべきことをまとめます。
通信環境の準備として、eSIMを購入・インストールしておくこと。VPNサービスに契約し、アプリをインストールしておくこと。VPNの接続テストを日本で行い、難読化サーバーへの接続方法を確認しておくこと。この3つが最低限必要です。
家族や同行者への共有として、ドバイではLINE通話ができないことを事前に伝えておくこと。VPNを接続してから電話をかけることを説明しておくこと。テキストメッセージは使えるので、通話ができない場合はテキストで連絡する手段があることを確認しておくこと。
現地での運用として、LINE通話やFaceTimeを使う前に必ずVPNを接続すること。VPN接続中はバッテリー消費がわずかに増えるため、モバイルバッテリーを持参すること。通話が不要な場面ではVPNをオフにして通信速度を確保することも選択肢です。
まとめ:ドバイのVoIP規制は事前対策で解決できる
ドバイのVoIP規制は、知らなければ困るが、知っていれば対策は簡単です。
VPNを1つ入れておくだけで、LINEの音声通話もFaceTimeもビデオ会議も、日本にいるときと同じように使えます。NordVPNの2年プランなら月額約510円。ドバイ旅行の全体予算からすれば微々たる金額です。
ただし、VPNの設定は必ず日本で済ませてください。現地でアプリをダウンロードできない場合があります。出発の数日前に設定を終わらせておけば、当日は何も心配することがありません。
VPN選びの詳細はVPN比較記事を、eSIMの準備はeSIM比較記事を参考にしてください。フリーWiFiのセキュリティが気になる方はフリーWiFi対策の記事もあわせてどうぞ。
よくある質問
ドバイでLINE通話は使えない?
ドバイでVPNを使うのは違法?
ドバイでWhatsAppは使える?
ドバイでおすすめのVPNは?
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