ベトナム旅行で通信手段に迷ったら|eSIM・現地SIM・WiFiの選び方
🇻🇳 ベトナム 基本情報
- 通貨
- ドン (VND)
- 言語
- ベトナム語
- 時差
- UTC+7(日本 -2時間)
- ビザ
- 不要(短期)
- 電圧
- 220V
- プラグ
- A, C
この記事で伝えたいこと
ベトナムは東南アジアの中でも通信環境の変化が激しい国です。数年前まではフリーWiFi頼みだった旅行者が多かったのですが、現在はeSIMと現地SIMの選択肢が広がり、状況がかなり変わっています。一方で「現地SIMが安すぎてeSIMを選ぶ意味があるのか」という、他の国ではあまり起きない悩みが発生する国でもあります。
この記事では、ベトナムの通信事情を調査データや渡航者の口コミをもとに整理し、ホーチミン・ハノイ旅行でネット環境をどう確保するかを解説します。
ベトナムの携帯キャリア事情
ベトナムには主要キャリアが3社あります。
| キャリア | 特徴 | シェア | eSIM対応 |
|---|---|---|---|
| Viettel | 国営系。カバレッジが最も広い。地方・山間部にも強い | 約50% | 直接提供あり(ただし手続きが煩雑) |
| Mobifone | 都市部の速度に定評。旅行者向けプランが充実 | 約20% | 空港カウンターで対応 |
| Vinaphone | VNPT傘下。安定しているが旅行者への訴求は弱め | 約15% | 一部対応 |
Viettelが圧倒的です。ベトナム全土をカバーしていて、地方に行くほどViettelの強さが際立ちます。ホーチミンやハノイの市街地ならどのキャリアでも体感差はないとされていますが、ダナンから郊外のビーチに足を延ばしたり、サパのような山岳地帯に行くなら、Viettel回線を選んでおくのが無難です。
利用者の情報によると、ホーチミン市内の4G回線で下り40〜60Mbps程度が出るケースが多いようです。5Gはホーチミン市内の一部エリアで展開が始まっていますが、旅行者が恩恵を受ける場面はまだ限られています。
現地SIMかeSIMか — ベトナム特有の悩み
ベトナムの通信手段を考えるとき、他の国とは少し違う判断軸が出てきます。それは「現地SIMが異常に安い」という点です。
現地SIMの圧倒的な費用対効果
タンソンニャット空港(ホーチミン)の到着ロビーを出ると、すぐ右手にViettel、Mobifone、Vinaphoneのカウンターが並んでいます。ノイバイ空港(ハノイ)も同様の配置です。
価格の目安は以下のとおりです。
| キャリア | プラン例 | 価格 | 日本円換算 |
|---|---|---|---|
| Viettel | 7日間 / 無制限(速度制限あり) | 200,000 VND | 約1,200円 |
| Mobifone | 7日間 / 5GB + 通話付き | 250,000 VND | 約1,500円 |
| Vinaphone | 10日間 / 10GB | 300,000 VND | 約1,800円 |
無制限プランで1,200円。これはeSIMのどのサービスよりも安い水準です。しかも通話付きのプランもあるので、レストランの予約電話やホテルへの連絡にも使えます。
渡航者の口コミでは、購入の流れは非常にシンプルとされています。カウンターでパスポートを見せて「7 days, data」と伝える。スタッフがSIMトレイを開けて差し替え、APN設定まですべてやってくれる。所要時間は約5分。英語が通じなくても、指差しとジェスチャーで問題なく完了するそうです。
それでもeSIMを選ぶ理由
安さだけで見れば現地SIM一択です。では、なぜeSIMという選択肢が存在するのか。eSIMが有効になる場面は主に3つあります。
1つ目は、到着直後からGrabを使いたい場合です。ホーチミンの空港タクシーはぼったくりの報告が多く、Grabで事前に料金を確定させるのが安全策とされています。SIMカウンターに並ぶ前にGrabを呼びたいなら、eSIMが必要になります。
2つ目は、日本のSIMカードを抜きたくない場合です。滞在中に日本の番号でSMS認証が必要になる場面は意外と多いです。物理SIMを抜いてしまうとそれができません。eSIMならデュアルSIM状態で両方の回線を維持できます。
3つ目は、深夜便での到着を想定している場合です。SIMカウンターは24時間営業ではありません。午前0時を過ぎると閉まっている可能性があります。eSIMなら時間帯に関係なく使えます。
おすすめパターン
eSIMと現地SIMのどちらかに絞る必要はありません。おすすめは「eSIMを保険として入れておき、現地に着いたらSIMも買う」という二刀流です。
eSIMは到着直後のGrab手配とSMS認証用。現地SIMは滞在中のメインデータ回線。この使い分けなら、eSIMは最小プラン(1GB程度、500円前後)で済むのでコストもほぼ変わりません。
eSIMサービスの詳しい比較はeSIM比較記事にまとめています。
| サービス | 回線 | 7日/3GBの目安料金 | テザリング | 日本語対応 |
|---|---|---|---|---|
| Airalo | Viettel系 | 約750円 | 可 | 英語のみ |
| trifa | Viettel系 | 約850円 | 可 | 日本語完全対応 |
| Holafly | Mobifone系 | 約1,300円(無制限) | 不可 | 日本語サイトあり |
| Ubigi | Vinaphone系 | 約950円 | 可 | 英語のみ |
Grabなしではホーチミンを歩けない
ベトナム旅行でネット環境が最優先になる最大の理由はGrabです。
ホーチミンの交通事情は独特です。バイクの洪水のような道路をタクシーが走り、歩行者は信号があっても自力で渡る。この混沌の中で安全に移動する手段がGrabだと、多くの渡航者が口を揃えます。
Grabが重要になる場面をいくつか挙げます。
タンソンニャット空港からホテルまでの移動。空港タクシーのカウンターでは200,000 VND前後を提示されることがありますが、Grabなら120,000 VND(約720円)程度で済むという報告が多いです。この差額だけでeSIMの元が取れる計算になります。
ベンタイン市場からブイビエン通りへの移動。歩ける距離ではありますが、ホーチミンの気温と湿度の中で荷物を持って歩くのはかなり体力を消耗します。Grabバイク(GrabBike)なら30,000 VND(約180円)程度で5分。初めてのGrabBikeは緊張するという声もありますが、慣れると一番速い移動手段だそうです。
日常的な移動にも活躍します。ベトナムのGrabは日本のタクシーアプリと違って、ピーク時間帯でもそこまで料金が跳ね上がらないのが特徴です。
Grabを使うにはデータ通信が必要です。WiFiが切れた瞬間にGrabが呼べなくなります。ホーチミンの路上でWiFiスポットを探している余裕はないので、SIMかeSIMでの常時接続は必須と考えてください。
ベトナムのカフェWiFi文化
ベトナムはカフェ大国です。フランス植民地時代の名残でコーヒー文化が根付いていて、ホーチミンにもハノイにも、歩けばカフェに当たるという状態です。そしてほぼすべてのカフェにフリーWiFiがあります。
速度と使い勝手
| 場所 | 速度の目安 | パスワード | 備考 |
|---|---|---|---|
| Highlands Coffee(チェーン) | 15〜30Mbps | レジで聞く or レシート記載 | 安定。店舗数が多く頼りになる |
| The Workshop Coffee | 20〜40Mbps | 店内掲示 | ノマドワーカーに人気。電源席も多い |
| ローカルのカフェ(路上席あり) | 5〜20Mbps | 店員に聞く | 当たり外れが大きい |
| ホテルのロビー | 10〜30Mbps | チェックイン時に案内 | 中級以上なら問題なし |
| ブイビエン通りのバー | 3〜10Mbps | 店員に聞く | 利用者が多く、夜は遅くなりやすい |
Highlands Coffeeはベトナム版スタバのようなチェーンで、ホーチミンの1区だけでも数十店舗あります。WiFiの品質が安定していて、渡航者のレビューでも「作業場所として信頼できる」という評価が多いです。
特筆すべきはベトナムのカフェでのコーヒー1杯の値段です。カフェ・スア・ダー(練乳入りアイスコーヒー)が30,000〜50,000 VND(180〜300円)。この値段でWiFiと冷房付きの席が使えるので、データ通信の節約手段としてもカフェは優秀です。
フリーWiFiのリスク
ただし、セキュリティは期待できません。
ベトナムのカフェWiFiはほとんどが暗号化されていないオープンネットワークか、全員共通のパスワードで運用されています。ブイビエン通り周辺はバックパッカーが密集するエリアで、WiFi利用者の数が多く、通信傍受のリスクは相応にあります。
カフェWiFiを利用する際に気をつけたいポイントは以下のとおりです。
- カフェWiFiではクレジットカード情報を入力しない
- フリーWiFi利用時はVPNを必ずオンにする
- できるだけeSIM/SIMのモバイルデータ通信を優先する
- 公共WiFiに自動接続しない設定にしておく
VPNサービスの選び方はVPN比較記事で詳しく解説しています。
ベトナムでVPNが必要になる場面
ベトナムのインターネットには、旅行者が意識すべき特殊な事情があります。
ベトナム政府はインターネットの検閲を行っており、一部のWebサイトやSNSに対してアクセス制限がかかることがあります。ただし中国のように完全にブロックされるわけではなく、Google、LINE、Instagram、Facebook、YouTubeなどは基本的に使えます。VPN必須の国ではありません。
VPNが役立つのは以下のケースです。
1. フリーWiFiのセキュリティ対策
前述のとおり、カフェWiFiを使うならVPNは事実上の必需品です。特に長期滞在でカフェワークをする人にとっては、VPNなしでの作業はリスクが高すぎます。
2. 日本の動画サービスの視聴
Netflix、Amazon Prime Video、TVerなどは地域制限がかかります。ベトナムのIPアドレスでは日本のコンテンツライブラリが表示されません。日本サーバーに接続できるVPNがあれば、ホテルで日本の番組を楽しめます。
3. 一部サイトの表示が不安定なとき
ベトナムのISPは特定のサイトへのアクセスが遅くなることがあります。日本のニュースサイトやブログが妙に遅いと感じたら、VPN経由で接続すると改善する場合があります。渡航者の報告では、社内の業務ツールやクラウドサービスの接続が不安定になるケースもあるようです。
タンソンニャット空港での通信確保
ホーチミン到着時の流れを整理します。
eSIMを事前設定済みの場合
- 機内モードを解除する
- eSIMの回線をオンにする
- 入国審査の列に並んでいる間にGrabアプリを起動し、ホテルまでの料金を確認する
- 荷物を受け取ったらすぐにGrabを呼ぶ
到着から空港を出るまでの時間を最短にできます。利用者の情報によると、この方法なら着陸から40分程度で空港を出られるそうです。
現地SIMを購入する場合
- 入国審査を通過し、荷物を受け取る
- 到着ロビーを出て右側のSIMカウンターへ向かう
- パスポートを見せてプランを選ぶ
- スタッフがSIM差し替えとAPN設定をしてくれる(約5分)
- 開通確認後、Grabでタクシーを呼ぶ
注意点として、カウンターの営業時間は概ね朝6時〜深夜0時です。深夜便やLCC早朝便で到着する場合は閉まっている可能性があります。
また、SIMの価格は空港価格で割高になっていることがあります。市内のViettelショップに行けばもう少し安く買えますが、空港から市内まで通信なしで移動するのは現実的ではないので、空港で素直に買うのが正解です。
ホーチミンとハノイの通信環境の違い
渡航者の口コミや通信品質調査の情報をもとに、主要都市の違いを整理します。
ホーチミン(1区・3区・7区)は4Gが安定しています。ベンタイン市場の中でも電波が入り、タクシーで移動中に途切れることもほぼないとされています。
ハノイの旧市街は建物が密集していて、屋内で電波が弱くなることがあるようです。ただし屋外に出れば問題ないという声が多いです。ハノイのカフェ文化もホーチミンと同様に充実していて、Cong Caphe(コンカフェ)というチェーンのWiFiが安定しているとの評判があります。
ダナン・ホイアン方面は観光地として整備が進んでいて、通信環境も良好です。ただしホイアンの旧市街の奥に入ると電波が弱まるエリアがあるそうなので、オフラインマップの準備はしておいたほうが良いです。
知っておくと便利な豆知識
ベトナムドンの桁数に注意
ベトナムドンは桁数が多く、100,000 VND(約600円)のような数字が日常的に飛び交います。Grabの料金表示もVND建てなので、慣れるまでは混乱しがちです。ざっくり「VNDの数字から0を2つ取って、6割にする」と日本円に近い数字になります(例: 200,000 VND → 2,000 → ×0.6 = 約1,200円)。
ネット環境があればGoogleで「200000 VND to JPY」と検索するだけなので、やはり常時接続は大事です。
フォーの注文にもネットが便利
ベトナム語のメニューしかない店に入ったとき、Google翻訳のカメラ機能が命綱になります。カメラをメニューにかざすとリアルタイムで日本語に翻訳してくれる機能です。オフラインでも使えるように、ベトナム語の翻訳データを事前にダウンロードしておくことをおすすめします。
電源事情
電圧は220Vで日本の100Vとは異なりますが、スマホの充電器やノートPCのアダプターは100-240V対応がほとんどなので、そのまま使えます。プラグはA型(日本と同じ2本ピン)とC型(ヨーロッパ型)が混在しています。渡航者の情報では、中級以上のホテルはA型で問題ないことが多いですが、安宿ではC型しかない場合もあるので、変換プラグを1つ持っておくと安心です。
出発前チェックリスト
必須(出発3日前まで)
- スマホがeSIM対応か確認する(iPhone XS以降、Google Pixel 3a以降など)
- eSIMの最小プランを購入し、プロファイルをインストールしておく
- Grabアプリをインストールし、クレジットカードまたはデビットカードを登録する
- Googleマップでホーチミン(またはハノイ)のオフラインマップをダウンロードする
- Google翻訳でベトナム語の翻訳データをダウンロードする
- 海外ローミングをオフにする
推奨(あると便利)
- VPNアプリをインストールし、日本サーバーへの接続テストを済ませる
- ホテルの住所をベトナム語表記でスクリーンショット保存する(Grabのドライバーに見せるため)
- モバイルバッテリーを充電しておく(ホーチミンの暑さでバッテリー消耗が激しい)
- Wiseカードなどの海外対応カードを準備する(現金主義の店も多いが、Grabはカード決済。カード選びの参考記事)
長期滞在者向け
- コワーキングスペースの候補を調べておく(ホーチミンならDreamplex、CirCO等)
- Viettelの長期プラン(30日間)の料金を確認しておく
- eSIMの追加チャージ方法を確認しておく
- 国際キャッシュカードの海外引出し限度額を確認する
まとめ
ベトナムは「現地SIMが安すぎてeSIMの出番がないのでは」と思われがちですが、到着直後のGrab手配、深夜便への対応、日本の電話番号の維持という点でeSIMには明確な存在意義があります。
おすすめは、eSIMを最小プランで入れておき、空港で現地SIMも買う二刀流です。合計でも2,000円以下で、滞在中の通信はまず困りません。
ホーチミンのカフェ文化はWiFi環境としても優秀ですが、セキュリティ面を考えるとVPNは入れておきたいところです。そしてGrabが使えないと移動が一気に不便になるので、ネット環境の確保はベトナム旅行の最優先事項です。
eSIMサービスの比較はeSIM比較記事、VPNの選び方はVPN比較記事で詳しく解説しています。ベトナム渡航前にあわせてチェックしてみてください。
帰国後にやること
ベトナムから帰国したら、スマホの設定を日本仕様に戻してください。
- モバイルデータ通信の回線を日本のキャリア(docomo、au、SoftBank等)に戻す
- 海外eSIMの回線をOFFにする(または削除する)
- 機内モードをON→OFFにして回線を掴み直す
帰国便に乗る前にeSIMをOFFにしておけば、日本の空港に着いた瞬間から日本の回線に繋がります。詳しい手順は帰国後の設定ガイドで解説しています。
よくある質問
ベトナムの空港でSIMカードは買える?
ベトナムでeSIMは使える?
ベトナムのフリーWiFiは安全?
ベトナムでGrabは使える?
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