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テザリングとeSIMの違い|海外旅行で使うならどっちが便利か

海外旅行の通信手段を調べていると、「テザリング」と「eSIM」の2つのワードが頻繁に出てきます。結論から言えば、海外で使うなら圧倒的にeSIMが有利です。テザリングは「通信を共有する技術」であり、eSIMは「通信回線そのもの」。そもそも比較対象として並べること自体が少しズレているのですが、混同している方が多いので、この記事で整理します。

テザリングとeSIMの違いを正しく理解すると、海外旅行の通信費を劇的に下げられます。筆者自身、この仕組みを理解していなかった頃はキャリアの海外ローミングでテザリングを使い、1週間で2万円以上を通信費に費やしていました。今ではeSIMを導入して同じ期間を2,000円前後で済ませています。

テザリングとは何か:まず仕組みを理解する

テザリングとは、スマホのモバイルデータ通信を他のデバイスに共有する機能のことです。スマホをWiFiルーター代わりにして、タブレットやノートPC、ゲーム機などをインターネットに接続できます。

テザリングには3つの接続方式があります。

WiFiテザリングは、スマホからWiFi電波を飛ばして周辺のデバイスを接続する方式です。最も一般的で、複数台を同時に接続できます。ただしスマホのバッテリー消費が激しく、半日使い続けるとバッテリーが空になることも珍しくありません。

Bluetoothテザリングは、Bluetooth接続でデータ通信を共有する方式です。バッテリー消費は少ないのですが、通信速度が遅いため、メールの確認程度にしか使えません。

USBテザリングは、USBケーブルでスマホとPCを直接つないで通信を共有する方式です。速度は安定しますが、ケーブルが必要なので利用場面が限られます。

ここで押さえておきたいのは、テザリングはあくまで「通信を他の端末に橋渡しする機能」に過ぎないという点です。テザリングそのものがインターネット接続を提供するわけではありません。スマホが何らかの回線(キャリア回線、eSIM回線、WiFi)でインターネットにつながっていて初めて、テザリングが意味を持ちます。

eSIMとは何か:回線そのものを選ぶ話

一方のeSIMは、スマホに物理SIMカードを差さなくても通信回線を利用できる仕組みです。スマホに内蔵されたチップに、通信事業者のプロファイル(回線情報)をダウンロードすることで通信が可能になります。

海外旅行においてeSIMが革命的なのは、渡航先の現地回線を日本にいながら購入できる点です。AiraloやHolaflyなどのサービスを使えば、出発前にアプリで渡航先のeSIMを購入し、現地に着いたら有効化するだけでインターネットが使えます。

つまり、テザリングは「すでにある通信をシェアする方法」、eSIMは「通信回線を手に入れる方法」です。この違いを混同すると、海外での通信手段の選択を間違えることになります。

海外でのテザリングの落とし穴

「海外でもテザリングすればいいんでしょ?」と気軽に考えている方がいますが、問題はテザリングで使う回線が何かという点にあります。

日本のキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の回線をそのまま海外で使う場合、海外ローミングの料金が適用されます。2026年3月現在、各キャリアの海外パケットプランは1日あたり980円〜2,980円が相場です。

キャリア海外パケットプラン料金
ドコモ世界そのままギガ980円/日〜
au世界データ定額980円/24時間〜
ソフトバンク海外あんしん定額980円/24時間〜

一見「1日980円なら安い」と思うかもしれません。しかし7日間の旅行で6,860円、10日間で9,800円です。しかも、これらのプランにはデータ上限があり、使い切ると速度制限がかかります。

さらに厄介なのが、テザリングでPCやタブレットを接続した場合のデータ消費量です。PCは接続した瞬間から、OSのアップデート確認、ブラウザのタブ復元、クラウドストレージの同期、メールの一括受信など、大量のバックグラウンド通信を始めます。

筆者がシンガポール出張中にキャリアの海外ローミングでテザリングしてノートPCを使っていたとき、2時間ほどの作業で1.5GBを消費していたことがありました。PCのWindowsアップデートが裏で走っていたのです。1日の上限が3GBのプランだったので、午前中で半分が消えたことになります。

海外ローミングの定額プランに未加入の状態でテザリングすると、事態はさらに深刻です。従量課金で1MBあたり数百円〜数千円が請求されるケースがあり、帰国後に10万円を超える請求が届いたという話は珍しくありません。

eSIMのほうが安い理由

eSIMが安い理由は単純です。現地の通信事業者の回線を直接利用するため、日本のキャリアを経由するローミング手数料がかからないのです。

具体的な料金を比較してみます。

渡航先・期間eSIM(Airalo等)キャリア海外ローミング(1日980円計算)
タイ 3日間500〜900円2,940円
タイ 7日間700〜1,500円6,860円
韓国 3日間500〜1,000円2,940円
ヨーロッパ 7日間1,500〜3,500円6,860円
アメリカ 7日間1,200〜2,500円6,860円

タイ7日間の場合、eSIMなら700〜1,500円で済むのに対し、キャリアのローミングでは6,860円。約5〜10倍の差があります。1日2,980円のプランを使っている場合は、7日間で20,860円になるので、eSIMとの差はさらに広がります。

しかも、eSIMは渡航先の現地回線を使うため、データ容量も余裕があります。Airaloのタイ向けプランなら1GBで500円程度から、5GBでも1,500円前後です。キャリアのローミングでは同じ金額で得られるデータ量がはるかに少ないことを考えると、費用対効果の差は歴然です。

各社のeSIMプランの詳細はeSIM比較記事でまとめています。

テザリングが本当に役立つ場面

ここまでeSIMの優位性を述べてきましたが、テザリングにはテザリングの出番があります。それは、eSIMを入れたスマホの回線を、eSIM非対応のデバイスや他の端末に共有する場面です。

たとえば以下のようなケースです。

WiFiモデルのiPadやタブレットを持っている場合。セルラーモデルでなければeSIMは使えませんが、スマホからテザリングすればインターネットに接続できます。

eSIM非対応のノートPCで作業する場合。PCにeSIM機能が搭載されていなくても、スマホのテザリングでネット接続が可能です。

同行者のスマホがeSIM非対応の場合。古いモデルのスマホを使っている方と一緒に旅行する場面で、自分のeSIM回線をテザリングで共有できます。

つまり、テザリングは「eSIMと対立する選択肢」ではなく、「eSIMと組み合わせて使う補助的な手段」として捉えるのが正しい理解です。

筆者の実際の使い方を紹介すると、海外ではまずスマホにeSIMを入れてメイン回線を確保します。ホテルや空港ではWiFiを使い、移動中はeSIMの回線を使います。カフェでノートPCを開いて作業するときだけ、スマホからテザリングでPCを接続します。

この運用であれば、テザリングで消費するデータ量を最小限に抑えつつ、PCでの作業も問題なくこなせます。

テザリング利用時のデータ消費量の目安

テザリングでPCやタブレットを接続する場合、どのくらいデータを消費するのか知っておくことが重要です。

利用内容1時間あたりの目安
メール送受信(テキスト中心)10〜30MB
Web閲覧50〜200MB
Googleドキュメント・スプレッドシート30〜100MB
Zoom会議(ビデオあり)500MB〜1.5GB
動画ストリーミング(YouTube等)500MB〜3GB
ファイルのアップロード・ダウンロードファイルサイズ次第

特に注意が必要なのは、PCのバックグラウンド通信です。テザリングでPCを接続した途端に動き始める自動処理があります。

  • WindowsやmacOSのシステムアップデート確認
  • クラウドストレージ(OneDrive、Googleドライブ、Dropbox)の同期
  • ブラウザの拡張機能やタブの復元
  • メールクライアントの一括同期

これらを制御しないまま接続すると、気づかないうちに数GBを消費していた、ということが起こります。対策としては、テザリング接続する前にPCの自動更新を一時停止し、クラウドストレージの同期も手動に切り替えておくのがおすすめです。

Windowsの場合は「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」→接続中のネットワークで「従量制課金接続」をオンにすると、バックグラウンドのデータ使用が大幅に制限されます。この設定をテザリング時の習慣にしてください。

設定方法の比較:eSIMとテザリングの手間

海外でeSIMを使い始めるまでの手順と、テザリングを設定する手順を比較してみます。

eSIMの設定手順は以下の通りです。

  1. 日本にいる間にAiraloなどのアプリで渡航先のeSIMを購入する(所要時間5分)
  2. QRコードが発行されるので、スマホで読み取る
  3. 「設定」→「モバイル通信」→「eSIMを追加」でプロファイルをインストール
  4. 現地到着後、アプリで有効化する
  5. 通信開始

テザリングの設定手順はこうです(iPhone+キャリア海外ローミングの場合)。

  1. 渡航前にキャリアの海外パケットプランに申し込む
  2. 現地到着後、「設定」→「モバイル通信」→「データローミング」をオンにする
  3. 「設定」→「インターネット共有」でテザリングをオンにする
  4. 接続したいデバイスからスマホのWiFiに接続する
  5. パスワードを入力して接続完了

手順数だけ見ると大きな差はないように見えます。しかし、決定的な違いは事前準備のハードルにあります。

eSIMの場合は、アプリで購入して読み込むだけなので、出発前の5分で完結します。一方、キャリアの海外パケットプランは、プランの種類を調べ、対象国を確認し、申し込み手続きをする必要があります。しかも、プランによっては現地で専用アプリを操作しなければ定額が適用されないものもあり、この操作を忘れると従量課金になるリスクがあります。

もうひとつ重要な点として、eSIMはデータ残量をアプリで確認できるのに対し、キャリアの海外ローミングではデータ使用量をリアルタイムで把握しにくいケースがあります。テザリングでPCを接続してデータを大量に消費していても、それに気づかないまま速度制限にかかる、という事態が起こりえます。

詳しいeSIMの設定方法はeSIM設定ガイドで解説しています。

「eSIM+テザリング」が最強の組み合わせ

ここまで読んで、「結局どっちを使えばいいの?」と思った方へ。答えはシンプルです。eSIMで回線を確保し、必要なときだけテザリングで他のデバイスに共有する。これが2026年現在のベストな使い方です。

具体的なシーン別の推奨パターンをまとめます。

シーンおすすめの方法
スマホだけで旅行eSIMのみ(テザリング不要)
スマホ+タブレットeSIM+必要時にテザリング
スマホ+ノートPC(軽い作業)eSIM+テザリング
スマホ+ノートPC(長時間作業)eSIM+ホテルWiFi(テザリングはバックアップ)
複数人で通信を共有各自eSIM推奨、非対応者のみテザリングで共有

筆者の場合、海外では基本的にスマホのeSIMだけで事足りています。タブレットで動画を見たいときや、カフェでPCを使うときだけテザリングをオンにします。eSIMの5GBプランを買っておけば、テザリングを含めても1週間で使い切ることはまずありません。

eSIMとポケットWiFiの比較は別記事で詳しく解説しているので、まだ迷っている方は参考にしてください。

テザリングのバッテリー問題と対策

テザリングの最大のデメリットは、スマホのバッテリーを大量に消費することです。

WiFiテザリングを有効にしていると、スマホは常にWiFi電波を発信し続けます。データ通信も同時に行うため、バッテリーの減りは通常の2〜3倍に加速します。満充電のスマホでも、テザリングを使い続ければ3〜4時間で50%以下になることは珍しくありません。

海外旅行中、スマホは地図、翻訳アプリ、カメラ、決済と、あらゆる場面で活躍します。そのスマホのバッテリーをテザリングで削ってしまうのは、旅行の安全面からも望ましくありません。

対策として有効なのは以下の3つです。

1つ目は、テザリングを使うのは腰を据えて作業するときだけにすること。移動中のちょっとした調べ物はスマホで完結させ、テザリングは必要最低限に抑えます。

2つ目は、モバイルバッテリーを携帯すること。10,000mAh以上の容量があれば、スマホをフル充電1〜2回分まかなえます。テザリングを頻繁に使う予定なら必須の装備です。

3つ目は、USBテザリングを活用すること。USBケーブルでPCとスマホをつなげば、PCからスマホに給電しながらテザリングできます。PC作業中のバッテリー問題はこれで解決します。

セキュリティの観点での違い

テザリングとeSIMには、セキュリティの面でも違いがあります。

テザリングでWiFiを飛ばす場合、第三者が自分のテザリングネットワークに不正接続するリスクがゼロではありません。特に空港やカフェなど人が多い場所では、テザリングのSSID(ネットワーク名)が周囲に表示されます。パスワードを簡単なものに設定していると、推測されて接続される可能性があります。

対策としては、テザリングのパスワードを12文字以上の複雑なものに変更し、使わないときはテザリングをオフにしておくことです。

一方、eSIMの通信は自分のスマホとキャリアの基地局の間で暗号化されているため、第三者に傍受されるリスクはほとんどありません。テザリングを使わずeSIMだけで通信が完結する場面なら、セキュリティ面での心配は最小限です。

ただし、テザリングでPCを接続してホテルの予約や銀行口座にアクセスする場合は、VPNの併用を推奨します。eSIMの回線自体は安全でも、接続先のWebサービスとの通信をさらに暗号化することで、セキュリティを二重に強化できます。海外でのインターネットオプション全般については海外ネット接続手段まとめも参考にしてください。

よくある誤解を解消する

テザリングとeSIMに関して、筆者がよく目にする誤解を3つ取り上げます。

「テザリングがあればeSIMはいらない」。これは誤解です。テザリングは通信を共有する機能であり、そもそもの回線がなければ機能しません。海外で使う回線としてeSIMを入れ、その回線をテザリングで共有するのが正しい使い方です。キャリアの海外ローミングでテザリングするのは費用対効果が悪すぎます。

「eSIMがあればテザリングは不要」。これもケースによります。スマホだけで旅行するなら確かにテザリングは不要です。しかし、タブレットやPCを持っていく場合はテザリングが役立ちます。eSIMとテザリングは対立する選択肢ではなく、組み合わせて使うものです。

「テザリングは遅い」。テザリングの速度は、元となる回線の速度に依存します。eSIMの回線が4G LTEで下り30Mbpsなら、テザリング先のデバイスでも20〜25Mbps程度は出ます。WiFi接続のオーバーヘッドで若干落ちますが、メール、Web閲覧、動画視聴に支障が出るレベルではありません。

eSIMで現地回線を安く手に入れる方法を比較しています。テザリング利用も含めたデータ容量の選び方の参考にどうぞ。eSIM主要サービスの比較はこちら

まとめ:正しい理解で通信費を10分の1にする

テザリングとeSIMの違いを整理すると、こうなります。

  • テザリング:スマホの通信を他の端末に共有する「機能」
  • eSIM:海外の現地回線を手に入れる「手段」

海外旅行で最もやってはいけないのは、日本のキャリアの海外ローミングでテザリングして、気づかないうちにデータを大量消費することです。筆者もかつてこの失敗をしました。

正しい選択は、eSIMで現地の安い回線を確保し、必要なときだけテザリングで他のデバイスに共有すること。これだけで通信費は10分の1以下に抑えられます。

まだeSIMを使ったことがない方は、まずeSIM比較記事で自分に合ったサービスを見つけるところから始めてみてください。設定は5分で終わりますし、次の旅行から通信のストレスが一気になくなります。

よくある質問

海外でテザリングは使える?
使えますが、日本のキャリアの海外ローミングでテザリングすると高額になる可能性があります。1日2,980円の海外パケットプランでもテザリングは含まれますが、eSIMのほうが圧倒的に安いです。
eSIMでテザリングはできる?
eSIMサービスの多くはテザリングに対応しています。eSIMをメイン回線にしてテザリングすれば、タブレットやPCにもネット接続を共有できます。
テザリングとeSIM、どちらが安い?
eSIMが圧倒的に安いです。例えばタイ7日間でeSIMなら700〜1,500円、キャリアの海外ローミングなら2,980円×7日=20,860円です。

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